2020年1月28日火曜日

夜半からの大風がくどさしを早める



 
 






 昨夜半からの大風が吹いている。朝のニュースでは風速30mを超える台風並みの風。この大風が影響して、明日予定していた「くどさし」を一日早める決断をした。朝、公園に行ってみると、強風に煙がかなりの勢いで流されている。温度を測定してみると、煙道の温度が一気に150℃近く上昇している。温度、煙の量・色、木酢液の出方などから、推測して、強風が窯内のガスを吸い出し、窯内の炭化にいたる熱分解を促進したと考えられる。このままでは、「くどさし」のタイミングが夜になると判断し、空気調整口を一気に開き、炭化をさらに促進させる「練らし」を行い、「くどさし」のタイミングを前倒しを試みる。午後四時。なんとか明るいうちに「くどさし」にこぎつけることができた。


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菊炭、漆黒の美


 第一回目の炭焼きの出来栄え。鹿の食害の影響で、そんなにいい窯木を使えなかったのに、まあまあの出来栄えの菊炭が焼けた。本当に美しい漆黒の美。この感動のため、また来年も炭を焼く。
    
    

炭を焼いている間にもしなければならない仕事はある

 
 
 

 


外から熱を加えず、窯内の窯木が自己熱分解をして炭化が進行していくことを、「蒸らし」といっているが、この窯木から水分などが抜けていく工程をじっくりととることが、いい菊炭が焼ける条件にもなっている。この工程は温度を計測する作業が主体であるが、この間にもやることはいろいろある。

 まず、来年以降の炭焼きに使う薪の準備。1回の炭焼きで使う薪は約60本。しかも強い火力を得るため、2年以上乾燥したものを使うことにしている。薪小屋から、2017年、2018年に割った薪を窯の前に移動させ、空いたスペースに今年割った薪を積み上げ乾燥させる。窯の脇に見事に組みあがった薪。そして薪小屋にもこの冬割った薪を積み上げ、「20」と記入した。多分3年後の炭焼きで使われる予定。先の長い話であるが、昔の人の里山の生活には、ゆっくりとした生活のリズムが流れていたのだろう。

 

     
 もう一つは、窯木から出る大量の水分と含有物。それを「木酢液」として回収しているが、一回の炭焼きで、平均150~200リットルくらいタンクに貯まる。それを忘れずに抜いておかないと、溢れて大変なことになる。そんな雑用も手を抜かずにすることも大事である。



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2020年1月27日月曜日

新しいやり方も取り入れて ・・・


 第1回目の炭焼き、窯木が崩れずに窯から出てくる良炭率が、88.3%というまずまずの出来栄え。まだ詳細に結果を分析してはいないが、ここ数年安定した出来栄えが得られているので、クラブを立ち上げ、炭焼きを引き継いでから8年、やっと炭焼き技術も確立できたかなと思っている。これも、炭焼きの工程をできるだけ「見える化」、データー化し、オープンな議論を交わし、新しいアイデアや考え方を出し合い、ノウハウをクラブ員全員で共有化してきた成果だと思う。そんな中で、課題として残っているのが、鹿の食害対策とクラブ員の高齢化である。

 鹿の食害には、大変な手間であるが、クヌギの苗や伐採した台場クヌギ、高木一本一本を保護し、作業のしやすい新しい再生林を開拓することで目処がついた。炭焼きノウハウがほぼ確立したと思われるので、高齢化の問題にも今年から取り組みことにしている。





 まずこの2回目の炭焼きからチャレンジしたのが、温度データの自動計測である。従来、煙道の温度はデジタル温度計で1時間毎に手動で計測し、昨年からは窯内温度も同様に手動で計測して記録していた。今年、計測器のマニュアルを見て、一定のインターバルで自動計測をして、データーを蓄積し、後からデータを確認し、プリンターにもは吐き出せる機能があることに気がついた。これを使わない手はない。結構、手間だった計測作業が大幅に省力化でき、今までは得られなかった夜間やクラブ員不在時のデータも得られるのである。試しにやってみたら期待通り上々の成果である。データ処理の効率化を考え、プリンターの購入を考えねば ・・・。

 取り組むべき課題の種は、まだまだ尽きない。


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爺と仔鹿

 
 


 メルヘンのようなタイトルですが、炭焼き作業中の一シーン。話しかけると、小首をかしげて、聞いているかのような可愛い仕草を見せる時がある。公園の職員さんとも ・・・。


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2020年1月25日土曜日

窯出し後はすぐに次の窯入れ、子どもたちも大活躍

 



 
 






第一回炭焼きグループの「窯出し」を終えたら、すぐに第二回目のグループの「窯入れ」。このグループには、数人の子供さんの参加。彼らは興味津々で、大活躍してくれました。「窯入れ」を終えると、古式による燧金(ひうちがね)/燧石(ひうちいし)による点火。470本ほどの窯木を入れ、予備乾燥をしてこの日は解散。昨年は雪の降る中の作業、一昨年は雪が積り、一日延期せざるを得なかったが、今年は暖冬。穏やかで暖かく、今年の炭焼きは、天候に恵まれていると実感。



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窯を開けたら ・・・






 今日は、待ちに待った「窯出し(炭出し)」の日。窯を開けてみると、窯木は水や含有物が煙となって飛散し、体積は半分位に縮小し、炭となった窯木の上には、いい感じで、炭化した藁やバイタが堆積している。崩れやすいので、一本一本丁寧に手渡しで取り出してゆく。ずらっと並んだ炭。
入れた窯木に対し、崩れずに焼けた炭ができた割合、これを良炭率と呼んでいるが、概算88%であった。結構いい数字である。最近は安定していい炭が焼けるようになった。早速参加者は米袋いっぱいにもらった炭を専用の鋸で切っていた。「炭がどうやってできるかがよくわかった。まるで壮大な理科の実験のよう。伝統を守っていく大変さもよく理解できた」とは、参加者の感想。



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2020年1月23日木曜日

小雨の中で次の炭焼きの準備


 第1回目の炭焼きは終わり、炭窯は25日の窯出し(炭出し)の時をじっと待っている。今日は、朝から小雨が降っている。例年なら雪になっているところだが、今年は暖冬。暖かい分、炭焼きの作業はいつもより楽である。





 森のクラブ、今日の作業は第2回目の炭焼きに向けての準備。窯木を窯の前まで運んだり、木酢液や消し炭の廃棄を行う。大事な作業は、標準木の計測。炭焼き前後での変化のデータを集めるため、10本の標準木を選定し、長さ、直径、重さ、含水量を計測する。こんな地道なデータの積み重ねが、良い菊炭を焼くためにきっと役立つと思う。



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2020年1月16日木曜日

幸せの黄色い・・・



 炭焼きの合間に薪割りをしていたら、芯が黄色な木が目に付いた。多分、「ハゼノキ(櫨、黄櫨)」。ウルシ科ウルシ属の落葉小高木で、単に「ハゼ」とも呼ばれる。ウルシ科なので体質により、まれにかぶれるという。万葉集や古事記では「はじゆみ」と呼ばれ、この材で弓を作ったとされている。また真言密教では、春の甲子の日にこの木を切って護摩を焚く木にしたという。心材は深黄色で美しいため、装飾材や寄せ木細工に使われる。その他、果実を蒸して圧搾をすると、高融点の脂肪、つまり和蝋燭の原料となる「木蝋」が採取できるので、日本では江戸時代に西日本の諸藩で盛んに栽培されたという。そんなことから、「ロウノキ(蝋木)」という別名もある。



 この時期、彩の少ない一庫公園で目立つのは、「セグロセキレイ(背黒鶺鴒)」 などの野鳥。そして、その餌となる真っ赤に熟した野生の柿。




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2020年1月15日水曜日

浅葱色は炭焼き完了のサイン


 
 
 

 
 
炭焼き5日目は「くどさし」である。もうこれ以上炭化が促進して灰にならないように、時期を見計らって、焚口、天井孔、排煙口のすべての口に砂をかぶせて覆い、空気を遮断する。そのタイミングを決めるのは、煙の量、色、煙道の温度である。木の中に含まれていた水分やセルロースなどの含有物が、すべて煙と化して炭化が進むと、煙はだんだん無煙に近くなり、その色はきれいな薄い浅葱(あさぎ)色になる。この時、煙道の温度は約300℃、数秒でマッチが着火する温度である。



 そんなことを確認して、「くどさし」を決断する。一度空気を入れ、残っている含有物を一気に燃焼させ、その後、窯前の砂を掘り出し、「くどさし」を行う。関西では、「竈(かまど)」のことを「お竈(くど)さん」とよぶ風習があるが、その「竈(くど)」を「鎖(さ)す」ということで、「くどさし」と呼んでいる。

 これで、第一回目の炭焼きを終え、あとは窯が十分に冷えるのを待って、炭を取り出す「窯出し」の作業を残すのみ。炭の出来栄えは、実はこの時までわからないというスリリングな時間を過ごすのである。



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