2014年8月29日金曜日

雨が上がったら、きのこの山に



 家を出るときは雨が降っていたが、遊びの山に着くと、ほとんど雨は上がっていた。山のあちこちから立ち登る水蒸気が、山や森を幻想的に見せてくれる。「こんな雨だから ・・・」と思っていたが、なんと14人の仲間の内、11人もが集まってきた。みんな暇なんだろうか? いやいや、仲間たちと山に入りたい思いが強いのだ。

 ゆっくり登り出すと、雨上がりの森のいたるところに、いろいろな種類のきのこ(茸)が顔を出している。まるで「きのこの山」のようだ。「きのこ」のことはほとんどわからないので、もちろん手も出さないし、実際のところ多分ほとんどが「毒きのこ」であろう。しかし、こんなところに、秋の訪れと自然の豊かさを感じる。いつものように、山頂まであがると、一気に視界が開け、まだ8月だというのに、ひんやりとした風が吹きあがってきて心地よく、爽快な気分になる。天気予報では、10月上旬の気候とか ・・・・。
  
  

2014年8月23日土曜日

続・秋が少し見えた ~ カシナガの活動も始まる ~



 秋は虫にとって子孫を残す活動期である。遊びの山では、前回の「チョッキリ虫」に続いて、「カシナガ」の活動も始まった。「カシナガ」、正確には、「カシノナガキクイムシ」といい、ミズナラ、ブナ、コナラ、クヌギなどのナラ類、シイ、アラカシ、シラカシなどのカシ類など身近な森林を形成している馴染のある広葉樹に、「ナラ枯れ」と呼ばれる被害を与える害虫である。「ナラ枯れ」は、「ナラ菌」というカビの仲間の病原菌が原因で、その病原菌を媒介するのが、写真にある体長5mm程度の「カシノナガキクイムシ」である。

 「カシナガ」は、病原菌を体内に入れて運び、夏から秋に樹木に無数の穴をあけ、卵を産み付け、翌年の6月にその幼虫が羽化し、また新しい樹木に卵を産み付け ・・・といったことを繰り返すのである。ナラ菌は孔道を伝わって蔓延するため、ひどい場合は、水分が上がらなくなり、真夏から晩夏にかけ急速に葉が萎れ、茶色や赤茶色に枯れてしまう。樹木の周囲には、「フロス」と呼ばれる穿孔した木の粉が散乱することも特徴である。樹齢の長い、大径木が被害を受けやすく、また被害を受けても、全て枯れるわけでもないので、山が丸裸になるというようなことはないようだ。 

 しかし、いずれにしても山にとっても木にとっても好ましいことではないのである。しかも、遊びの山は炭材用のクヌギやコナラが多い、かっての里山である。冬に見つけた被害木には対策を打ったが、産卵の季節を迎え新たな被害木が見つかった。写真のように、根に近いところにいくつもの穴があけられ、フロスが散乱しているのがよく見てとれる。来年の羽化する時期までには、調査をして対策を打たねばならないだろう。山で遊ぶにも、結構、やらねばならないことは多いのである。
  
  

2014年8月22日金曜日

秋がすこし見えた ~ チョッキリ虫の活動始まる ~



 我が住宅地の近辺に比べ、遊びの山ではちょっぴり早めに秋の気配が濃厚に。いつもながらの仕事師、「チョッキリ虫」の活動が始まった。、「チョッキリ虫」が見せる職人芸は、「クヌギの枝の切り落とし」。正確には、「ハイイロチョッキリ」である。体長(口吻を含まない)が、8㎜前後のオトシブミ科の甲虫である。9月ごろに、クヌギ、コナラなどの実(ドングリ)に卵を産み、その後、枝ごと切ってドングリを地表に落としてしまう。そうやって産みつけた卵は、翌年の初夏に羽化する。

 まるで剣豪が切ったような、その枝の切り口の見事さと、どんぐりの真ん中に正確に穴を開けるその技には、いつもながら感心する。秋がすこし見えた ・・・。
  
  

2014年8月15日金曜日

嵐が去った後の森を片付ける



 嵐が去った後の「遊びの山」に入る。台風が直撃に近かったためか、あの強風で、いたるところで、枯れ木が倒れたり、枝が折れたりしている。自然観察林を訪れる来園者の散策の邪魔になるし、なにより安全のために、台風後には、いつも散策路をふさぐ折れた木の伐採や、垂れ下がったり、散らばったりしている枝の片付けという作業を行っている。いまはお盆休みなので、朝から家族連れの来園者で一杯である。早く片付けねばと、今回も午前中いっぱいかかって、3コースある散策路の片付けを行った。もう汗びっしょりであるが、斜面を吹き上がってくる風が心地よい。

 台風後、いつもより森の薫りがきつく感じるのは気のせいか ・・・。猪がいたるところで、餌を求めて枯葉の堆積している地面を掘り返した跡がある。この猛暑と台風、彼らも生き延びるのに必死なのだ。片付けを終えて下ってくると、仲間の一人が丹精込めて作った西瓜が待っていた。

2014年8月1日金曜日

鹿から守る ・・・



 前回、「鹿の食害」のことについて少し触れた。そして、鹿の被害は、古くからこの地域に伝わる「炭焼き」技術の伝承をしようとしている我々の活動に必要な「菊炭」の原木を育てているクヌギの再生林にまでも及んでいることを書いた。若芽や若枝を食べられてしまった「台場クヌギ」は成長しないのである。

 現実には鹿の捕獲や駆除は難しい。そこで、いろいろの案の中から、自衛手段として検討を始めたのが、ネット状のフェンスを再生林に張り巡らして、鹿の侵入を防ごうという試みである。昨年から、一部に実施をしてみた。やはり、効果があるもので、写真の様に、昨年11月に伐採した切り株から新芽が出て、成長している。これが鹿に食べられなければ、台場クヌギとして順調に成長して、8~10年後には、炭材として手頃な太さまで成長するのである。うん、鹿から見ればおいしそうに見えるんでしょうね。