2014年4月21日月曜日

遊ばせてもらっているお返しに ・・・


 多数の白い小花が青空に映えている。「アオダモ(青梻)」である。遊びの山にもウォーキングの道筋にも咲きだした。「アオダモ」の「アオ」の由来は、雨上がりに樹皮が緑青色になること、枝を水に浸けて暫くすると水が青い蛍光色になること、青い染料に利用されたことによるといわれていれる。

 それよりもよく知られているのは、材質は堅く強いが粘りや撓りがあるため、とくに野球で使われる木製バットの原料として知られている。しかし、計画的な植林・伐採が行われなかったことから、「アオダモ」が入手困難となり、行政、野球関係者、バット生産者が一体となって、資源を確保するための取り組みが行われているという。(Wikipedia参照)


 「アオダモ」が咲き始めた、そんな遊びの山の公園。炭焼きの時期はお休みをしていた子供に木工を楽しんでもらうイベントが先月から再開した。我々が森の手入れで遊ばせてもらっているそのお返しとして、間伐材を使って、自由に木工細工を楽しんでもらうイベントである。材料はふんだんにあるのでほぼ毎月実施している。この日も30人近くの家族連れがやってきた。もう何回もやっているので、リピーターの家族も多い。最初は、我々じいさん達が作ったサンプルを見て作っているが、直ぐに自分の作りたいものを作り出す。いつも見ていて思うのだが、子供の想像力、創造力というのは、本当に豊かですごいことに驚いてしまう。むしろ一緒に来た親のほうが、それに刺激されて夢中になっていく場合も多い。出来上がったたくさんの作品をもって、笑顔いっぱいで誇らしげに帰っていった。 


 この日のイベントのもうひとつの目玉が「手作りうどん」。私も気が向いたら家で作るのだが、これが意外といけるのである。作り方は至って簡単で、中力粉200g、水90cc、塩ひとつまみをポリ袋にいれ(二人分)、風船のように膨らましてから、水が均一に混ざるフレーク状になるまで振る。そして力を入れて袋の中で十分に捏ねたら、片栗粉をひいた板の上に取り出し、麺棒で薄く延ばす。畳んで包丁で細く切って、ほぐしたら生うどんの出来上がり。あとは、「ぶっかけ」にするもよし、「かけ」にするもよし、「つけ麺」にするもよし、好きな食べ方を選び、だしつゆと具を用意したら美味しいうどんの出来上がりである。家族みんなで作ったうどんを、暖かい陽ざしの下で一緒に食べるのもまたいいものである ・・・。
  
  

2014年4月18日金曜日

枯れた桜を伐ると ・・・


 暖かくなり、森の手入れ作業が本格的に始まった。今日の作業は、これから多くなる来園者に備えての枯れ木の処理。自然観察林の山道脇には、カビ、害虫など原因はいろいろであるが、枯れ松や枯れ桜がいくつかある。倒れたら来園者の安全にもつながるので、定期的に伐採をしている。この日も数本づつ松と桜を伐採した。この枯れ桜、切り株に顔を近づけるといい香りがする。桜餅に使われる「オオシマザクラ(大島桜)」の葉と同じ香りの「クマリン」である。先達によると、桜は枯れると、自ら防腐剤でもあるクマリンを幹の中心に集め、朽ちるのを防ぐという。確かに枯れた桜の「髄」で作った木工品はほのかにクマリンの香りがするし、いつまでたっても固く、色艶もよく、もちろん腐ることはないのである。

 少しでも生き延びようとするその桜の健気な習性というか、特性を知ると、なぜか我々シニアの姿にも擬せられて、身につまされる感じもするのである。

2014年4月15日火曜日

初々しい緑は始まりの色


 山の色が劇的に変わっている。遠目には常緑樹の濃い緑が優って分かりにくいが、近くや森の中で見ると、鮮やかな明るい緑が増えてきた。「クヌギ(櫟、椚、橡など)」、「コナラ(小楢)」など、この山に多い落葉広葉樹が一斉に芽を吹き出したのである。この鮮やかな明るい緑は、山を劇的に明るくさせ、春が来て、木々の命の活動が活発に始まったんだということをあらためて私に感じさせる色である。20年前この地に移って来るまでは、大阪市内のマンションに住んでいたので、この緑を見たときは、大げさであるが自然の移ろい、季節の到来を実感し、感動したものである。さて、今年の山の手入れ作業も始まり、いよいよこれから本番を迎えるのである。


 この緑、まだ残る「ヤマザクラ(山桜)」の白や、今が主役で満開の「コバノミツバツツジ(小葉の三ツ葉躑躅)」の淡紅色と見事なコントラストを見せてくれる。この初々しい明るい緑、日増しに色鮮やかに濃くなって、連休が過ぎると全山を覆い、初夏の色となる。
  
  

2014年4月13日日曜日

桜から躑躅(ツツジ)へ

(写真;手前がコバノミツバツツジ、奥がヤマザクラ)
 
 「エドヒガン(江戸彼岸)」、「ソメイヨシノ(染井吉野)」、「ヤマザクラ(山桜)」、「オオシマザクラ(大島桜)」と、まるでフーガのように続いた今年の桜の見頃は素晴らしい余韻を残しながら、一段落を迎えた。その代わり、桜を追っかけるように「ツツジ(躑躅)」の季節が始まる。これから山は、「コバノミツバツツジ/小葉の三葉躑躅」の淡紫色一色に染まる。関西へ来てから初めて知った「ツツジ」であるが、本州中部以西から九州まで広く分布しているので、このあたりの里山ではどこでも見ることができる。中部地方から関東地方に分布する「ミツバツツジ」に比べて、葉が多少小さいためこの名があるという。

2014年4月11日金曜日

南の島から来た櫻


 「エドヒガン(江戸彼岸)」、「ソメイヨシノ(染井吉野)」も盛りは終わり、山は今、「ヤマザクラ(山桜)」、「オオシマザクラ(大島桜)」がピーク。しかし、もう数日で桜の季節もあっという間に終わってしまうのであろう。写真は、「オオシマザクラ」。かの「大島」を始めとする伊豆諸島に多く自生し、それが和名の由来ともなっている。また、古くから薪炭用に植えられたため、「タキギザクラ(薪桜)」の別名があるという。花弁は白色で5弁、淡い芳香を持ち、「エドヒガン」と並んで「ソメイヨシノ」の一方の親だと言われている。しかし、何故この山にあるのかは分からない。

 「オオシマザクラ」の葉は、他の桜の葉に比べるともっとも大きく、また葉の丸みが強いのも特徴。そして、「ヤマザクラ」と比較して、葉に産毛がないため、「桜餅」には、この桜の若葉を塩漬けにしたものを使用する。この葉の独特な甘い香りの正体は、「クマリン」と言う成分で、この芳香は、我々もよく枯れた桜を処理するときにも経験する香り。


 今の桜のピークが終わると、この山の桜は5月に咲く、「ウワミズザクラ(上溝桜)」、イヌザクラ(犬桜)」までちょっとお休みである。 

 「オオシマザクラ」を見ながら、山作業を終えて駐車場に戻ると、そこには桜によく似ているが、「ハナカイドウ(花海棠)」が、満開の淡紅色の花を咲かせていたいた。桜と同じバラ科であるが、リンゴ属で、桃紅色の美しい花を次々と房状に咲かせる中国原産の耐寒性落葉高木。「棠」とは「梨」のことで、「海棠」とは海外から来た「梨」という意味だという。園芸種で、この山自生の種ではないが、それでもこの美しい桃色には目が惹かれる。
  
  

2014年4月3日木曜日

やっぱりエドヒガン(2)  ~我が手植えのエドヒガンも~



 山遊びの公園。「コブシ(辛夷)」、「ミツマタ(三椏)」が満開。「ソメイヨシノ(染井吉野)」もちらほら咲きだした。遊歩道の脇には、「キイチゴ(木苺)」の一種でしょうか、「ニガイチゴ(苦苺)」と思しき白色の花も満開。しかし、今の主役は、やっぱり「エドヒガン(江戸彼岸)」。霞か雲か ・・・。天空を覆い尽くすように美しさを競っている。



 そして、たしか2010年に私が植えた「エドヒガン」の苗も、嬉しいことに花が開いた。この公園では、実を採集し、育てた実生苗を山に戻す活動も続けている。 「エドヒガン」の寿命は千年とも言われている。もちろん見ることはかなわないが、やがては大きな櫻の森に育つことを夢見ている。

昨年の6月に採取して、我が家の庭先で直播きをして、発芽を試みていた「エドヒガン」。今朝見ると、小さな双葉が顔を出している。どうやら発芽したようである。この苗も育てて、やがては山に ・・・・。その日が楽しみである。