2017年11月28日火曜日

種子、形も色もいろいろに

 
 山はきらびやかな紅葉に覆われているが、その陰で、色とりどりの実や種も見ることができる。毎年繰り返して行われる、冬を越し、子孫を残すための大事な活動なのだ。

 真っ黒いサヤに真っ黒い種。「ニセアカシア」と呼ばれる北米原産のマメ科の落葉高木。日本で「アカシア」と呼ばれる木はほとんどがこれ。枝葉が「エンジュ(槐)」に似ていて、棘があることから、和名は「ハリエンジュ(針槐)」。日本には明治のはじめに伝わり、成長が早いことから、街路樹、公園樹、砂防・土止めなどとして広く植栽されている。しかし、繁殖力が強いため、環境省は「日本固有種の成長を妨げる」として伐採などが必要な「特定外来生物」の候補にした。
 
 
 「サンシュユ(山茱萸)」。中国及び朝鮮半島の原産地に分布し、江戸時代、享保年間に朝鮮経由で種が日本に持ち込まれ、薬用植物として栽培されるようになったという。「アキサンゴ(秋珊瑚)」、「ヤマグミ(山茱萸)」とも呼ばれ、この時期、その赤い色が一層際立つ。実家の庭にも何本かあって、黄色い花を付け、春を告げる木でもあった。

 宮崎県の民謡、「稗(ひえ)つき節」に、「♪ 庭のさんしゅうの木 ~~、 鳴る鈴かけて ・・」という出だしだが、わたしはずっと「さんしゅう=さんしゅゆ=山茱萸」とばかり思っていたが、「サンショウ(山椒)」の訛ったものだという。これは余談。
 
 
 もう時期は過ぎてしまったが、「マムシグサ(蝮草)」。晩春に、花茎を直立させて開花するが、茎に紫褐色のまだらな模様があり、この模様が「マムシ(蝮草)」に似ていると考えられたところからこの名がつけられたという。確かに鎌首をもたげた蛇の様でもある。秋には、こんな鮮やかな色をした「トウモロコシ(玉蜀黍)」に似た形状の果実を付ける。
    
 
 
   

 
 
 
 
 





2017年11月12日日曜日

さすがに老いを感じてはきたが ・・・


 
 一年ぶりのクヌギの伐採、玉切り作業。急斜面の上り下りで息が上がる。踏ん張れず、バランスを崩し尻餅をつく。チェーンソーや鋸を持つ手が重い。一年前に比べ、間違いなく体力は下がっている。ヘルメット着用、声かけやロープなどを使い、安全最優先で作業を行っているが、実質、約2時間の作業が集中力と体力の限度である。

 来園者や公園事務所の職員からは、お世辞半分に「お若いですね」と言われるが、仲間の最年長は79歳、若い人でも65歳、十分に高齢者である。さすがに皆んな老いてはきたが、顔はまだいきいきと輝いている。この活動、仲間の皆んなにとって、楽しさや健康、活力をもたらしてくれているが、それにもまして、多少は世の中に役立っているということが、モチベーションの源泉にもなっている。ゆっくりと時間をかければ、まだまだ続けられそうである。
  
 
 
  

 

2017年11月11日土曜日

里山の語り部としても

 
 
 秋晴れの空の下、今日も台場クヌギの伐採。気温も、太陽も、わずかに吹いてくる風も、チェーンソーの唸る音も、心地よい。汗を拭うのは、久しぶりである。作業をしていると園内を散策している人から、「どうして木を伐っているんですか? 何の木ですか? どうするんですか? 皆伐しても大丈夫ですか?」などの質問を結構受ける。菊炭のこと、地域の伝統文化だった炭焼きのこと、台場クヌギのこと、そして里山と人々の暮らしのことなど ・・・。そんなことを来園者にわかりやすく語るのも、森林ボランティアの重要な役目である。
   
 
 
   

2017年11月10日金曜日

炭焼き三昧の日々が始まる


 
 さあ、今年も始まった炭焼きへの準備作業、台場クヌギの伐採。私にとっては、8年目の炭焼きである。平均年齢70歳を超えてもなお、急斜面で伐採作業を頑張る仲間の爺さんたち。やはり皆んな山作業や炭焼きが好きなのである。どうやったらより美しい菊炭が焼けるのだろうか。伐採作業をしながらも、年が明けたら始まる炭焼きへの工夫や段取りについて思いを巡らす。これから4ヶ月、炭焼き三昧の日々。
 
   
  
 




2017年11月9日木曜日

主役はやはり紅葉



 
 燃えるような紅葉。朝夕の寒暖の差が激しいので、今年の色付きは見事。今、公園の主役はやはり紅葉。近隣の施設から多くのお年寄りが訪れていた。紅葉を脇目にクヌギの伐採へと向かう。

2017年11月4日土曜日

ルーペの中の驚くべき世界





 何やら地面に這いつくばっている怪しい一団。今日は、「兵庫県立 人と自然の博物館(ひとはく)」の秋山弘之先生の指導で、公園の「コケ(苔)」の観察会。観察といっても、肉眼ではなかなか難しいので、どうしても地面に這いつくばったり、ルーペによる観察となってしまう。普段全く気にも留めない苔。しかし、最近苔の人気が高まっているとも聞く。観察は初めてであるが、話を聞くと、ルーペの中に驚くべき世界が拡がっていた。

 ここからは受け売り。間違っていたらご容赦を。「コケ(苔)」類は「セン(蘚)」類、「タイ(苔)」類それに「ツノゴケ」類の3類に分けられるが、「苔」には根が無いので水分、養分は空気中から吸収するので、土壌を必要としないという。土や木に生えている様にも見えるが、ただ乗っかっているだけだという。干からびているようにみえる苔に、霧吹きで水分を与えると、瞬く間に葉が広がるのが観察できた。

 普通の植物と同じように、幹、茎、枝、葉の構造を持っていて、光合成作用、炭酸同化作用を行うという。驚くべきは繁殖。雄株の造精器で作られた鞭毛を2本持つ精子が、雨などによって水に触れた時に泳ぎだし、雌株の造卵器で作られる卵細胞と受精し、受精卵がつくられ、それが胞子嚢(のう)内で胞子体に成長し、それによって行われるという。

 そんな世界がすぐ身近な足元に拡がっていたとは全く知りませんでした。苔、恐るべし。写真は、いずれも蘚類、星型の葉が鮮やかな「エゾスナゴケ(蝦夷砂蘚)」と秋から冬にかけて形成される「胞子嚢(のう)」がはっきりわかる「コスギゴケ(小杉蘚)」。