2012年10月19日金曜日

鳴く鹿の ・・・

(写真;炭焼き窯跡の前で)

 今日も小学1年生の自然体験学習のお手伝い。メニューは前回と同じウォーク・ラリー。この時期に実をつける木の名前や、この山に住む動物、昔里山として利用していたころの炭焼き窯の跡を探したり、どんぐりを採集するというメニュー。それは、無事終わったが、実感として、考えさせられたことがあった。前回は大規模住宅団地にある小学校1,2年生で165名、今回は大阪北部、農村地域にある小学校の1年生で、3校合わせてもたったの23名。農村の過疎化と少子化の実態が顕著に顕れているのである。この地域は隣接していて車で走れば、10分か15分の距離なのである。ずっと前から言われているように、農業問題、過疎化問題、都市問題、少子高齢化、地方分権 ・・・ 全てが根っこで繋がっている政党を超えた政治課題。早く政治が動かねば ・・・。この子たちの未来なくして、国の繁栄などあり得ない。前夜見たIMF専務理事ラガルドさんがでていたNHK「クローズアップ現代」に共感。

 しかし、爺さんの心配なぞよそに、子供たちは元気である。前回の住宅団地の子供たちより、間違いなく逞しかった。そして、きょうもまた、「生」鹿が、子連れと思われる3頭で、我々を迎えてくれた。しばらくの間、こっちをじっと見ていたが、「ピュイ~」と一声鳴き、警戒音を発すると、森の奥へと消えていった。

  奥山に 紅葉踏み分け 鳴く鹿の 声聞く時ぞ 秋はかなしき   (よみ人知らず 『古今集』から)
   
  

2012年10月16日火曜日

炭焼きの準備を始める

(写真は補修前の炭焼き窯)


 炭焼きの季節が近づいてきた。年が明ければ、炭焼きが始まる。「えっ、もうこんなに早くから準備するのか?」と言われれば、「イエス」である。12月の初めには、炭の材料となる「クヌギ」や「コナラ」を伐採し、一定の長さに切りそろえ、山から降ろして、しばらく乾燥させるという「窯木づくり」という材料の準備を終えなくてはならない。そしてその前には、伐る木、伐らない木の選別、それとクヌギ林の林床整備を行わなくてはならない。こうやって逆算していくと、10月には実行計画の立案、11月からは作業の開始というスケジュールになってしまのである。そしてもう一つ大事な作業が、炭焼き窯の点検と補修である。何せ1年のうち、2か月だけしか炭焼きはせず、後は放置されているのである。しかも、炭焼きの時、窯の中の温度は800度とか1000度近くにさらされるのだ。当然メンテが必要なのは言うまでもない。ちゃんとメンテすれば、窯は100年持つといわれている。


 半年ぶりに窯内に入ってみた。この窯ができたのは10年ほど前である。窯の壁はこの山の赤土、いわゆる粘土で作られているが、10年もの使用でだいぶ壁が剥がれてきている。山から赤土を掘って運び、それを篩(ふるい)にかけて細かくし、少量のセメントと水を加え、こねる。それを壁の剥がれた箇所に埋め、鏝(こて)で丁寧に仕上げていく。立つこともままならない狭い窯の中の作業である。約1時間の作業を終えるともう膝はガクガクの有様。外壁部の石組みや頭頂部の補強、窯口周辺の補修も無事に済み、後は養生をして、炭を焼く日を待つばかりである。

 この地域は、太閤秀吉の時代から、茶の湯に使われる最高級の黒炭、「菊炭」の産出地として有名である。炭を使う生活や文化が段々すたれていく中で、遊びの山のクヌギ再生林を手入れし、菊炭を焼く技術を伝承していくのが我々ボランティアグループの活動の目的の一つとなっている。これだけの苦労を掛けて補修したのである。いい菊炭が焼けてもらわないと困るのである。我がボランティア・グループの一大行事、里山文化である「菊炭を焼く技術の伝承」として行っている炭焼きの準備の一つを終え、炭焼きの季節へスタートを切る。
  

2012年10月11日木曜日

癒しの子供たち


 今日は我が山遊びの公園で、始まった秋の「自然体験学習」のサポート。兵庫県では、主に小学校3,4年生を対象に、「地域の人々の協力を得ながら、田畑や里山、水辺や地域の自然での体験活動等を通じて、自らが自然の一員であることを学ぶ」という「自然体験学習」を実施しているが、気候の良い春につづいて、秋の活動が始まったのである。今回は、近くにある小学校1,2年生4クラス。160名を超える大勢の子供たちを迎えてのサポート。ダム湖畔の駐車場までバスを迎えに行き、そこから公園まで350段を超える階段を昇ってゆく。ちょっぴり心配な半年前までは幼稚園生だった1年生。そして都会の平地にある学校だと何人かの脱落者が出るのであるが、さすが坂の上にある学校、毎日の登校で鍛えられているらしく、一人も遅れることはなく上った。むしろ、日ごろの運動不足は先生の方で、相当あえいでいた様子。


 こうやって毎年いくつもの学校を見ていると、学校によって結構差があるのに気が付く。子供たちが活き活き溌剌としている学校、締まりがないというか子供達がだらけ放題の学校、あまりやる気がなく、手抜きが目立つ先生のいる学校。そして、集団に馴染めない子は、どの学校でも必ずいるし、「いじめの芽生え」に近いものもどの学校にもあるようだ。しかし、そんなことに関係なく半日、目一杯楽しんでもらうのが、我々爺さんの仕事と楽しみ。もちろん、ボランティアですが ・・・。 

 さあ、今日のウォーク・ラリーの問題メニューは、「実のなる木の名前をしらべること」、「どんぐりや色の違う葉っぱを集めること」、「昔の人が使った炭窯跡を探すこと」。そして、「この山に住んでいる動物を探すこと」であった。動物は人前には姿をなかなか見せないので、ほぼ実物大の動物のパネルを置いたが、なんと、本物の鹿が数頭あらわれたのだ。

 澄んだ空気、空の青さ、爽やかで心地よい風 ・・・。いい季節になったもんだ。子供たちの笑顔、元気一杯の歓声、それを見ているだけで、爺さんたちは癒されるのである。