2017年12月24日日曜日

櫟(くぬぎ)林からの贈り物

 
 先日、今年最後の山作業の時である。仲間が、「クヌギ(櫟、椚)」の切り株に大量に生えている「ヒラタケ(平茸)」をみつけた。色艶もよく、肉厚で美味しそう。最後の山作業の日とあって、ちょうど家庭菜園をしている仲間が持ってきた「ネギ(葱)」と「ゴボウ(牛蒡)」も頂く。となれば、この日の夜の献立は決まりでしょう、「すき焼き」です。今年一年、櫟林を守る活動をしてきた我々への贈り物でしょうか。

 
 こちらは、「クヌギ」の切り株の洞をびっしりと埋めている冬眠中の虫。なんの虫かはわかりませんが、白い斑点が見えることから、「カミキリムシ(髪切虫、天牛)」でしょうか。私は食べたことがありませんが、「カミキリムシ」の幼虫は、虫界のトロと呼ばれるくらい美味しいと言われている。薪を割っていると時々見つけることがあるので、そのときは食べてみようかとも思うのだが、未だに勇気がなく果たせないでいる。
    
 
 
    
 
 

2017年12月22日金曜日

今年の山作業も安全に終えることができた




 ことしの山作業はこの日が最後。いつものように伐採した「クヌギ(櫟、椚)」の切り株に丁寧に防腐剤を塗る。

 こうしておけば、来年の春、新しい芽が出て成長し、十年後に再び伐採ができるまでに成長する。そして新しい芽が出て ・・・。過去からこんな輪伐を何十回と繰り返してきた。これから将来にわたって、同じように輪伐を何十回と繰り返し、里山と炭焼き技術が、次の世代に引き継いでていければいい。「未来への架橋になれ」と願いながら、素手で丁寧に防腐剤を塗る。

 今年一年、作業中の怪我や事故もなく、無事、安全に終われそうである。来週最後の作業は、倉庫や作業場の整理整頓、炭窯の点検などを行って、新年を迎える予定である。
   


  

2017年12月18日月曜日

あったかい ・・・




 山の公園のネイチャー・センターの薪ストーブにも、今月になって火が入った。多くの親子連れがあったかそうに、笑顔で火を見つめている。薪の燃える炎は人の心を和ませるようだ。このストーブで焚く薪は、我々が伐採したコナラなどの間伐材を割り、乾燥したもの。本当によく燃える。

 そしてこの日は我々のクラブのイベントも。「ミニ門松&クリスマス・リース&竹パンづくり」。34人、12家族が参加し、我々が用意した竹や蔓を使って、思い思いのミニ門松とクリスマス・リースを作った。

 竹パンは、ひも状に延ばしたパン生地を竹の棒に巻きつけ、それを火にあぶって焼くというもの。パンを焼く囲炉裏も我々の手作り、もちろん炭は炭窯で焼いた炭である。木枯らしの中、囲炉裏の火で暖まりながら、パンを焼き、美味しいといって頬張る子供達もやはり笑顔。

  

   

2017年12月8日金曜日

雨上がりのクヌギ林はア・カペラの雰囲気に似ている


 
 朝方の雨も上がり、すこし薄日の差し込むクヌギ林で、今日もまた、「台場クヌギ」を伐採し、窯木づくりを続ける。ひんやりと冷え込む空気、朝靄、静寂、鳥のさえずり ・・・。そんな中での作業、素朴で、シンプルで、それでいてチームワークが欠かせない。毎年、繰り返している大変な作業だが、嫌になったり、飽きることがない。音楽で言えば、「ア・カペラ」の魅力に似ていると言えなくもない。午後は、この近く、黒川字奥瀧谷の「台場クヌギ林」が、里山として、市の天然物に指定されたことに関するセミナーを聴講。クヌギ三昧の一日。
  
 
 
   

 

2017年12月3日日曜日

雨ニモ負ケズ、鹿ニモ負ケズニ

 
 昨年伐採した「台場クヌギ」の切り株から、新しい枝が成長している。今年の春に一旦芽を出したが、鹿に食べられてしまい、その後、鹿除けネットを設置したため、再度芽を吹き出したものであろう。その生命力のたくましさにいつもながら驚かされる。8~10年ぐらい経てば、菊炭の炭材として伐採するのに手頃な太さに成長する。こうやって、この里山では長い間、伐採⇒育成⇒伐採と、輪伐を繰り返してきたが、ダムができたため、この里山が放置された。いまは里山が体験できる公園として、我々がクヌギを育て、伐採をし、炭焼きをして里山文化を将来に伝えようとしている。



 だいぶ朽ちかけているが、「ヤママユガ(山繭蛾)」の繭(まゆ)であろう。山のクヌギ林では、成虫、幼虫もふくめ、よく見つけることがある。

 「ヤママユ(山繭)」、「テンサン(天蚕)」とも呼ばれる日本在来の代表的な野蚕(やさん)で、北海道から九州にかけて分布し、クヌギ、コナラ、カシワ、シラカシなどの葉を食物として、全国の落葉性雑木林に生息しているという。養蚕が盛んだった私の故郷・松本に隣接する地域、穂高町(現在の安曇野市)の有明では、いわゆる一般的な「お蚕さん」である「家蚕(かさん)」とは別に、江戸時代からこの「天蚕」の飼育が行われていることで知られていた。この繭から採れる糸は、「天蚕糸」とよぱれ.光沢が優美で、太く、伸度が大きく、織物にして丈夫で、しわにならず、暖かく、手触りも良いなどの優れた特徴があり、繊維のダイヤモンドにもたとえられて珍重されているという。たしか宮中でもこの「天蚕」が飼育され、「天蚕糸」を採取する習わしが行われているように記憶している。