2018年5月31日木曜日

群れて舞えば、もうすぐ梅雨

 


 ビオトープほとりに「モリアオガエル」の卵塊ができるのと前後して、山では、羽化したばかりの夥しい数の「テングチョウ(天狗蝶)」が、建物、駐車場や周遊路のあちこちで集団乱舞している。毎年、梅雨入り前に見られる圧巻のページェントである。

 「テングチョウ(天狗蝶)」。和名は成虫の頭部が天狗の鼻のように前方に伸びることに由来するという。テングチョウは全世界に10種類ほどが知られるが、日本に分布するのは1種類だけであるという。北海道から沖縄本島まで広く分布し、山地から平地の雑木林の周辺に生息、成虫は年1回もしくは2回発生する。

 なかなか写真に撮るのが難しく、アップしている写真はたしか2,3年前のもの。また、同時にダム湖周辺では、名前とは全く裏腹に、特有の毒針毛は無く、幼虫にも成虫にもまったく毒はないという「キアシドクガ(黄脚毒蛾)」の大群も。この蝶と蛾の羽化が始まれば、もうすぐ梅雨。

2018年5月28日月曜日

ビオトープは小さな宇宙



 
 水面一面に「エゴノキ」の花びら。公園の管理事務所の裏手には小さな池が設えてあり、ここは、「モリアオガエル(森青蛙)」を始め、「カエル」たちにとってのビオトープ、動物や植物が恒常的に生活できるように造成または復元された小規模な生息空間となっている。この時期、普段は森に生息する「モリアオガエル」、繁殖期になると産卵のため、生息地付近の水辺に集まる。「カエル」は、水中に産卵するものがほとんどだが、この「モリアオガエル」だけは、水面の上にせり出した木の枝などに、粘液を泡立てて作る泡に卵を産みつける。先回も書いたが、その後も次々と「モリアオガエル」が来ては、卵を産み付けている。毎年見ているが、どうしてこんな所に卵を産むのか不思議でならない。前回の卵塊は、孵化し、もうなくなって、卵は「オタマジャクシ」になって、池の中で泳いでいる。もうすぐ「カエル」の赤ちゃんに。
 
 
 「エゴノキ」や「ヤマボウシ」の花が咲き、梅雨が近づくと、森に住んでいる「モリアオガエル」が集まってきては、卵を枝先に産み付け、それが「オタマジャクシ」になって、池に落ち、水中の虫などを食べ、「イモリ」などの捕食者から逃れ、成長したら森へ帰っていく。毎年、それが繰り返されてゆく。この「ビオトープ」は、カエルたちにとっての小さな宇宙。
 

2018年5月22日火曜日

自分でトッピングしたピザが美味しくないわけはない

 
 
 公園のビオトープ。「モリアオガエル(森青蛙)」の卵塊を作っている「エゴノキ(別名;チシャノキ/萵苣の木、ロクロギ/轆轤木 )」の花が満開となり、花いっぱいに囲まれて、新しい卵塊がぶら下がっているのが確認できた。新しい命の誕生が加速される。

 先月のイベントが雨のため中止だったが、この日は爽やかな天気。公園は朝早くから来園者でいっぱい。我々が月1回実施している木工教室も、この日から、今年度1回目が始まった。森の手入れで出る大量の間伐材。それを利用しての親子のための木工教室である。

 上手にのこぎりを挽く女の子がいる。聞いてみれば幼稚園から地域の木工教室に参加しているとのこと。サンプルはあるが、何を作っても、どれだけ作ってもいいというほとんど制限なしの木工教室。子どもたちの自由な発想はどんどん広がり、我々は少し難しい穴あけや切断のお手伝いだけ。子どもより親が夢中になることも多い。ゆとり教育、子供の安全のためとやらで、道具を使わせない教育。結果、道具の名前も使い方も知らない親や子供が多い中で、ちょっとこの親子に感心。
 
 
 そして、木工の間に、一緒に作るこの日の手作り料理は、「手作りピザ」。我々が焼いた炭で、我々の手作りのピザ窯を使って焼く。木工は親任せでも、ピザとなると、みんな真剣な顔でトッピングに夢中。こんなふうにして作った手作りのが美味しくないわけはない。
 
 
 
 


2018年5月19日土曜日

梅雨の先触れ



 
 散り始めた「エゴノキ(別名;チシャノキ/萵苣の木、ロクロギ/轆轤木 )」の花を踏みしめながら登っていく。今日の山作業は、先週に引き続き、ナラ枯れ対策として粘着シート(ムシ虫ホイホイという)を被害木に巻く。高いところからや視界が開けたところからでないと見えない。この山で一番大きな葉っぱを持つ木、「ホウノキ(朴の木)」の花。梅雨が近づいてきたのか、ちょっと蒸し暑さを感じるこの日、枝の先にぽつんと咲く孤高の花が、遠目にも清々しい。

 この山に自生する「ヤマグリ(山栗)」は、もうすっかり花が落ちてしまった。栗の花に由来した「栗花落(つゆおち)」というレアな名字、お名前があるという。「栗」の花は、梅雨の時期までに散ってしまうことから、「つゆおち」と読むのだそうだ。

 ビオトープには、少し小さめであるが、つぼみをいっぱいつけた「エゴノキ」の枝先に、「モリアオガエル(森青蛙)」の卵塊がぶら下がっていた。これから、梅雨が近づくにつれ、この真っ白い大きな卵塊がいくつもぶら下がり、新しい命を生み出してゆく。

2018年5月11日金曜日

公園はいま一番いい季節を迎えている




 
 公園は今、一番いい季節を迎えている。目にも鮮やかな新緑の中での作業。暑すぎも寒すぎもせず、一庫ダムの知明湖から上がってくる風は、作業するわれわれにとって爽やかですこぶる心地よい。いずれも白い花の「ヤマボウシ(山法師、山帽子)」、「ヒトツバタゴ(一つ葉タゴ、一つ葉田子)/別名:ナンジャモンジャ」、「エゴノキ/別名:チシャノキ(萵苣の木)、ロクロギ(轆轤木)」 。そして、森のあちこちで群生し、薄い朱色、赤紫の花が満開の「ヤマツツジ(山躑躅)」の群落。これを見ているだけでも、この山でボランティアをやっていてよかったと喜びを感じる。

 「森林セラピー」という言葉もあるらしいが、この山での活動、我々、シニア側にとってはまさに「セラピー」である。


 さて、今日の作業は、我々にとって、三大天敵による害、鹿の食害、「カシノナガキクイムシ」によるナラ枯れ、外来植物や常緑広葉樹(照葉樹)繁茂による植物の多様性の喪失への対策のうち、2番目の「カシノナガキクイムシ」によるナラ枯れへの対策である。、この公園での被害木はほとんどが、「コナラ(小楢)」である。

 我々は、虫が羽化を迎え、飛び立つ6月までに被害木に粘着テープを巻きつけ、新たな木への飛来を防止するという対策を続けている。

 一見消極的にも思えるこの対策、6年前から始め、結構手間もお金もかかるのであるが、この公園だけに限って言えば、効果があったようで、3年前をピークに 新たに被害木が減ってきているというデータが得られている。何よりも枯死してしまう「コナラ」が、被害木の1割にも満たない数%という結果も得ているが、まだまだ虫との攻防はこれからも続く。