2018年6月30日土曜日

体験しなければ分からないことがある


 
 頬を膨らませて、一生懸命、火吹き竹を吹く男の子。「火吹き竹」なんて言葉は多分死語になっているくらい、竈(かまど)で煮炊きをするなんてことはなくなってしまった。この日は、地域の小学4年生の里山体験学習のサポート。カリキュラムの一つとして、竈で豚汁を子供たちで作ってもらう。マッチで焚付に火を点け、火をおこし、湯を沸かし、それぞれが持ってきた具材をいれ、火加減を見ながら味付けをする。そして、柴や薪が、炊事、風呂、暖房など、電気やガスがなかった昔の生活にとって、どれだけ大切だったかを理解してもらったあとで、山に入り、のこぎり体験、柴刈り体験をしてもらっている。ほとんどの子供にとって、初めての経験だっただろう。自分たちでつくった豚汁はよほど美味しかったと見えて、最後の一汁まで見事完食。私の子供の頃のアウトドアの調理体験といえば、「飯盒炊飯」。あの焦げたご飯も美味しかった。そんなことを思い出しながら ・・。



 午後は、ウォークラリー。クイズ形式の質問への答えを探してグループに分かれて、、園内を探索してもらう。途中、野生の鹿に出会ったり、もう一週間もすれば採り頃となる「ヤマモモ(山桃)」の実を口にいれ、まだまだ甘味が少ない酸っぱさを味わう子もいる。樹液に集まる「クワガタムシ(鍬形虫)」を運良く捕まえては、観察する子もいる。体験しなければ分からないことがある。子供たちにとっては、そんな一日だった。
  
【 森のクラブイベントのお知らせ 】  
 
 「木を使ったかわいい動物やクラフトづくり&手作りうどん」
   7月15日(日) 10:00~15:00 ワークショップ集合  (雨天実施)
   参加費:300円(保険代、材料費等)
   定員:20名(申し込み先着)
   お申し込みは公園管理事務所(072-794-4970)まで
     

2018年6月27日水曜日

梅雨の晴れ間のビオトープでは


 
 梅雨の晴れ間。朝から気温がぐんぐんと上がり、昼前にはもう30度を超え、なおかつ蒸し暑い。いつもは作業フィールドの公園、ウォーキングをかねて歩いてみる。山へ登らなければ、急坂のない周遊路を一周45分ぐらいで回れる、ちょうど良いコースとあってウォーキングをしている人も多い。この日、公園のビオトープには、「シオカラトンボ(塩辛蜻蛉)」が飛び交い、池の中では、最近孵化した「モリアオガエル(森青蛙)」のオタマジャクシが群れをなし、元気いっぱいに泳いでいた。

 
 「ヤマモモ(山桃)」の実も、大きくなり、赤く色づきだした。採り頃、食べごろまでには、あと10日ほどであろうか。我が家では、毎年、ヤマモモをジュースとジャムに手作りしている。


 しっかりと歩くと汗ばんできたが、林の中は、木陰がひんやりとしている。「クヌギ(椚、櫟)」などから出る樹液の匂いがあたりに満ちているのに気が付く。虫の楽園だ。そして、木漏れ日が生み出す陰影が目を和ませる。

【 森のクラブイベントのお知らせ 】

  「木を使ったかわいい動物やクラフトづくり&手作りうどん」
   7月15日(日) 10:00~15:00 ワークショップ集合  (雨天実施)
   参加費:300円(保険代、材料費等)
   定員:20名(申し込み先着)
   お申し込みは公園管理事務所(072-794-4970)まで
            
             

  

2018年6月19日火曜日

強いパパの腕、優しいママの指先





 この日は、クラブが月一で開催している木工工作のイベントの日。「木を使ったかわいい動物やクラフト作り&竹パン」。加えて「父の日」である。梅雨の晴れ間とあって、朝から来園者が多く、朝10時には丘の駐車場ははや満車。木工教室の方も8家族を超える大盛況。

 ここぞとばかり木工を手伝う力強いパパの腕、パンを捏ねる優しいママの指先。子供たちは、魔法の手のように感じたかもしれない。立派な作品と美味しい竹パンができました。

次回は7月15日(日)に開催予定です。
  

  

2018年6月14日木曜日

公園の多様な生き物たち


 
 なんといっても活動の最盛期を迎えているのが、「モリアオガエル(森青蛙)」。ビオトープの辺に満開の「ヤマボウシ(山帽子、山法師)」の枝先に真っ白な卵塊を産み付ける。この日数えたら、卵塊は15を超えていた。圧巻の光景。



 
 前回記事に書いた「エントツドロバチ(煙突泥蜂)」。気をつけて見てみると、あちこちに巣を作っています。たくさんの子供たちがやってくるので、蜂にはすまないがご遠慮を願っている。これから「スズメバチ(雀蜂、胡蜂)」も活動の時期を迎えるので、要注意。

 
 そして、こんな危険な動物も。「マムシ(蝮)」。この個体はまだ小さいので、生まれたばかりか。結構多く公園に生息しているので、注意を呼びかけている。

 とまあ、われわれにとっての天敵、鹿を含めて多くの生き物がこの公園には生息し、サバイバル競争を繰り広げているが、これも自然の摂理、多様性が保たれていることはいいことには違いない。
 
  
 

2018年6月13日水曜日

夏は来ぬ



 梅雨の中休みですか、暑くなってきました。夏になると、公園の「丘の流れ」には、水遊びをする多くの子供たちがやって来る。車でしかくる手段がないので、天気の良い休日は、開園してすぐに駐車場も満車になってしまうくらい。入園料も駐車料金も無料。お弁当を持ってくれば、広い自然の中で、一日安全で楽しく遊べるし、いろいろなイベントも行っている。そんなことから、口コミで人気が広がっているらしく、年々来園者がふえているという。今年は、開園してから20周年を迎える。
 
 

2018年6月12日火曜日

伝統の粽(ちまき)作りを学ぶ  





この日は地域伝統の粽(ちまき)作りを子供に教える食育イベントのお手伝い。宝塚や猪名川など北摂地方には、祇園祭りで有名な粽とはちょっと違う地域独特の粽があり、それらを、地域の無形文化財として認定しようという動きもあるようだ。

 我々の活動フィールド、一庫公園の近くの川西市黒川地区にも独特の伝統の粽がある。旧暦では今の時期が「端午の節句」。古来より、黒川地区でこの時期に粽を作るのは、子供の成長を願う節句用、またこれから忙しくなる農繁期の昼飯用にと、大量に作った保存食だという。蒸した米粉を搗(つ)いて餅にし、この地区で採れる3種類の葉っぱ、「ナラガシワ( 楢柏)」、「チガヤ(千茅、茅萱、血茅)」、「イ(藺)、イグサ(藺草)」を使って包み、再び蒸したら出来上がりである。

 子供達と一緒に、「ナラガシワ」の葉の採集し、蒸した米粉を石臼で搗き、葉で包んで粽を作り、再び蒸すという作業を親子でやってもらい、たくさんの「ちょんまげ」の形の粽ができた。ご飯はやはり春にこの山で採取し、塩漬けした桜の花びらを炊き込んだ「桜飯」と旬の野菜いっぱいのスープ。この時期の食を満喫。

  

2018年6月5日火曜日

やっかいな蜂。でもその巣作りの技には感心してしまう




 竈(かまど)場で飯を炊いていた仲間が指差す。「竹に蜂が巣を作っている!!」と。なるほど軒下に吊るした長さ2mほどの竹に、真っ黒い蜂が出入りしている。よく見ると、竹の両端部を塗り固め、3箇所の水道の蛇口のような出入り口を作っている。雨風や天敵の侵入を防ぐためだろう、その見事な出来栄えに、すっかり感心してしまった。蜂の種類など全くわからないので、とりあえず軒から下ろして、安全なところへ移した。放棄されているようだが、いくつかの他の竹にも巣を作っている。いままで全く気がつかなかった。

泥で巣を作る蜂。なんとなく聞き覚えがあったので、調べてみると、どうやら「エントツドロバチ(煙突泥蜂)」らしい。間違っていたら、ご指摘ください。鹿の次は蜂、悩みの種は尽きない。

 「オオカバフスジドロバチ(大樺斑条泥蜂)」、「オオカバドロバチ(大樺泥蜂)」とも呼ばれ、本州から九州にまで生息している「ドロバチ(泥蜂)」の仲間だそうだ。全体が黒く、腹部に2本の黄色い帯、胸背部は黒一色の体長18㎜前後。竹筒や岩の隙間などに、泥で巣を作る。巣には「イモムシ」などを運び入れ、幼虫の餌にし、巣作り中は、巣の出入り口を泥で煙突状に伸ばす習性があり、名前の由来になっているという。やっかいな蜂ではあるが、巣の出入り口を作る技の妙には、すっかり感心してしまった。(蜂の写真はNETより無断拝借)
  

2018年6月4日月曜日

今年も鹿との知恵くらべです



 今年、苗を植樹をしたクヌギの再生林に鹿が侵入しているとの報告。「ワイヤ入りのネットを張り巡らしたエリアに植樹したのにどうして?」という疑問。今まで、このネットのエリアに鹿が侵入したことはなかった。早速現場にあがって確認すると、ネットの裾が持ち上げられ、そこから侵入されている。そしてシェルターを被せていない苗の若葉は全て食べられていた。油断!! シェルターを被せた苗の成長は、被せていない苗にくらべ若干生育が遅いため、このネットのエリアには鹿は侵入しないと思い込み、作業が大変なこともあって、植樹した苗の一部にはシェルターをかぶせていなかったのである。

 鹿は、シェルターをかぶせてある苗は食べられないことが分かっているので、これまでは侵入しなかっただけなのである。シェルターを被せていない食べられる美味しい苗があるとわかった途端、早速侵入に及んだのである。とりあえず、ネットを塞ぐ応急措置だけはしたが ・・・。我々の油断と手抜き。それに比べて鹿の賢さ、抜け目のなさ。さて、今年も始まった鹿との知恵くらべ、攻防戦。ゴングが鳴りました。我々は、ずっと後手後手に回っていますが、賢者はどっちか。勝者は ・・・。覚悟を新たに、すべての苗にシェルターを被せることを決断。

 

2018年6月3日日曜日

枯れ木、枯れ枝の処理をしながら初夏の森を満喫



 春の嵐で折れ、自然の森の観察路の上に懸りになって、引っ掛かっている大きな折れ枝。「ナラ枯れ」により枯死してしまった「コナラ(小楢)」の木。普通、枯れ木は、段々と朽ちていく中で、虫など様々な生き物が、餌として食べたり、巣などに利用されるので放っておくのであるが、周遊路付近のものは、来園者の安全のため、そんな折れ枝や枯死木を処理したり、伐採するのも我々の大事な作業の一つ。目にしみる新緑の中で、目いっぱい初夏を感じながら、「トライやる・ウィーク」で社会体験にやってきた地元の中学生2人と一緒に山作業をする。

2018年6月2日土曜日

モリアオガエルは花が好き??



 
 つい先日までは、「モリアオガエル(森青蛙)」は、ビオトープで満開の「エゴノキ」の枝先に卵塊を産み付けていた。(拙ブログ「ビオトープは小さな宇宙」) ところが、「エゴノキ」の花が散り、代わって「ヤマボウシ(山法師、山帽子)」が満開になると、こんどは「ヤマボウシ」の枝先に産み付けている。目的は生まれてくる「オタマジャクシ」を池の中に落とすためなので、言ってみれば、花が咲いていようが、咲いていまいが関係ないと思うだが ・・・。何かの目安にしているのだろうか?

 それとも、「モリアオガエル」は花が好き?? やはり、不思議な蛙である。


2018年6月1日金曜日

鹿も喰わないのは ・・・

 
 山の公園の芝生広場では、「ラベンダー」が満開。公園では、食欲の旺盛な「シカ(鹿)」や「イノシシ(猪)」の食害に悩まされているが、この「ラベンダー」は、鹿も避けるようで、毎年綺麗な花を咲かせてくれる。NETなどで調べたり、人から聞いたところでは、もちろん100%ということではないだろうが、「アセビ(馬酔木)」、「キョウチクトウ(夾竹桃)」、「ナンキンハゼ(南京櫨・南京黄櫨)」、「シキミ(樒、櫁、梻)」、「ジキタリス」などの有毒の花、「ラベンダー」もこの仲間ですが、「シャクヤク(芍薬)」、「マリーゴールド」、「ハンゲショウ(半夏生)」、「ミント」など匂いが強いハーブ系の花が嫌いだという。そして、足をとられたり、お腹を擦られるのが嫌いらしく、「ツツジ(躑躅)」とか、毒性もある「アザミ(薊)」などのブッシュ系、トゲ(棘)系の植物も嫌いだという。そんなことから、クヌギの再生林は、鹿対策として、下刈りをあえてせずにブッシュを残している。
 
 
 
 しかし、庭と違ってこの公園は、鹿の嫌いなものばかりで山の植生を構成することなど不可能だし、多様性を損ねてしまう。共存を図ってゆくしかない。満開の「ウツギ(空木)」。鹿の好物か否かはわからない。そして、まだまだ小さくて青い「ヤマモモ(山桃)」の実。こちらも好物であるかどうか分からないが、高いところに実がなるので、届かないようだ。こうして、食害を免れた「ヤマモモ」は、あと1ヶ月ほどで食べごろとなる。