2017年2月27日月曜日

失敗の本質は ・・・


 2012年に新たに森林ボランティアのグループを立ち上げ、炭焼きを引き継いでから、5年目の炭焼きを終えた。それ以前の炭焼きはといえば、ノウハウを知っている長老格の采配に従って、作業をするだけで、炭焼きの奥深いところや、詳細なノウハウなどはほとんど教えてもらえなかった。

 新しいクラブを立ち上げてからは、「炭焼き技術の伝承」という目標を掲げるなら、そんなやり方を改めようと、「より美しい菊炭をめざす」、「科学的なアプローチで」、「全員参加でノウハウ共有」を方針としてやってきた結果、昨年は、今までの私の炭焼体験では最高レベルとも言える菊炭が焼けた。しかし、「今年も!」と意気込んで焼いた炭は、失敗とまでは言えないが、昨年の品質に比べたら大幅に品質ダウンを認めざるを得ない結果であった。

 しかし、今回のこの結果の反省から得られるものも、相当大きかったと実は思っている。そのひとつは、かって先達に教えてもらった常識、定説を疑ってみたことである。ただひたすら薪を焚くだけと、いままであまり目を向けて来なかった「窯焚き」の有り様が、結果として炭の出来栄えに大きく影響するということがわかったこと。焼き急ぎをしないよう、むしろ温度上昇を抑え、時間をかけてじっくりと焼くことなど、目からウロコが落ちたように、新たな知見も得られた。来年に向けての新たな目標や確かめたい課題が設定でき、もう来年の炭焼きが待ち遠しくてならないのだ。

 素人がプロの炭焼き師に少しでも近づくためには、データを収集し、それを分析・活用することが、よりよき菊炭づくりにつながると思ってやってきたが、その方向は間違っていなかったと思う。そして、失敗は、成功するためへの必然であり、いつまで続けられるかわからないが、失敗は私の炭焼きへの挑戦や、森林ボランティアへ駆り立てる原動力となっている。とはいえ、年に2回しかできない炭焼き。できるだけ失敗はしたくないのが本音ではあるが ・・・。

 

2017年2月17日金曜日

春の兆し、里は梅、山は馬酔木から




 ポカポカ陽気の中での山作業は久しぶりである。炭焼きも終わり、炭材の「クヌギ(椚、椚)」を伐ったあとの林床整備を行う前に、山頂まで登る。春の訪れを告げるのは、里は梅、山は馬酔木。先週は雪で隠れていた馬酔木がいたるところで花を咲かせている。上を見上げると、すっかり葉が落ちた枝先に「スズメバチ(雀蜂)」。いまは、放棄されてはいるが、あの下で伐採をしていたかと思うと、ちょっと怖い。

 再生林の斜面を深々と覆っていたクヌギの枝や葉を取り除く。こうすることによって、台場クヌギの周りを取り巻く動植物の多様性が保たれる。作業を始めようとすると、はやくも敵情偵察なのか、3頭の親子連れの鹿がクヌギ林の斜面を、怖がる様子もなく、ゆっくりと横切っていった。

 ところで、今年の「ソメイヨシノ(染井吉野)」の開花予想、大阪は平年並みの3月29日だという。とすれば、この山の「エドヒガン(江戸彼岸)」もその頃か。周辺整備の予定を立てねば ・・・。

  

2017年2月13日月曜日

窯のぬくもりが伝わってくる



 温かい。まだ窯のぬくもりがかすかに触れる手に伝わってくる。窯出しホヤホヤの炭である。早速、断面を確かめるために切ってみる。美しい漆黒の菊の花の文様が浮かび上がる。今年の炭焼きは、来年への課題を残して、これで終わり。また来年、より美しい菊炭をめざすチャレンジが始まる。
 

2017年2月10日金曜日

雪景色もまた ・・・



 天気予報通り、朝から雪混じりの雨。活動日を年間予定に組み込んであり、急に休止になってもすることがないので、台風か積雪で上がれない限り、原則として山の定例活動は実施することにしている。道具の手入れや工作室の片付け、年寄り談議などすることはいくらでもあるのだ。トンネルを抜けるとすっかり雪に。積雪にまでは至っていないので、メンバーが次々と集まってくる。炭焼きで山頂まで登っていなかったので、雪景色を見ようと登る。この時期、一番手の「アセビ(馬酔木)」が咲き始めているが、美しい雪の華の陰にすっかり隠れてしまった。鹿はこの木が苦手。だから奈良公園は「馬酔木」の名所になったという話を聞いたことがある。雪景色を十分に楽しんだあとは、コーヒーを飲んで下山。
 

2017年2月6日月曜日

こども探検隊がやってきた!



雲一つない快晴、ぽかぽか日和。この気持ちよさ。そんな日、例年の「こども北摂里山探検隊」が公園にやってきた。総勢24家族80名ほどの参加者。この日はそのイベントのお手伝いである。探検のメニューは、飾り炭の材料採集や里山を知ってもらうための探検ツアー、飾り炭焼き、竈での火焚き、飯炊き体験、椎茸ほだ木作り、薪割り、ノコギリ体験などである。

 熱さに顔を火照らせながら、一生懸命火吹き竹を吹く。ノコギリをうまく使えず、なかなか木が切れない。葉っぱでもどんぐりでもなんでも、そのままの形で炭になるという驚き。子供たちにとっては、全てが新鮮な経験だったようだ。そして昼ごはんは、竈で炊いた古代米と豚汁。

 

2017年2月1日水曜日

炎とけむり ~ 燃えさかる赤、神秘の赤、安堵の浅葱色 ~



 
炭焼きの過程でいつも惹かれる色がある。ただひたすらに薪を焚く「窯焚き」の燃え盛る紅蓮の炎の「赤」。「くどさし」の直前、「練らし」の空気孔から見える窯木が炭化していく過程で見せるほの暗く輝く神秘の「赤」。そして、この色の煙が見えると一安心。炭化がほぼ終了に近づいたサインで、排煙口からうっすらと立ち上る「浅葱色(あさぎいろ)」。いずれも炭焼きの出来・不出来を占ったり、タイミングを判断する大事な色でもある。