2018年4月26日木曜日

新緑に包まれながらクヌギ苗を植える




 今、目にしみるような新緑に山は包まれている。今日の山作業はクヌギ苗100本を植樹。毎年1、2月に、この地域の伝統文化である菊炭、それを焼く炭焼き技術を伝承するための炭焼きを行っているが、その材料「クヌギ(櫟、椚)」は、公園内にあるかっては里山だったクヌギ林から伐採している。先人の知恵で、クヌギは一旦、伐採をしても、新芽が生えてきて、7~8年ほどで程よい太さまで成長する。従って、ほぼ10年サイクルで伐採を繰り返せば(輪伐という)、絶えることなく炭材が供給できることになる。このように育てたクヌギを「台場クヌギ」と呼ぶが、伐採年によってクヌギの成長が異なるため、遠くから見ると、まるでパッチワークのように見えるのはそのためである。そして、このクヌギ林は、近隣の小学生のための里山体験教室の教材としても使われので、毎年多くの子供たちが公園を訪れる。

 

 しかし、近年鹿の食害によって若芽が育たず、クヌギが全滅するという危機を迎えている。そのために、3年ほど前から、丸坊主になったクヌギ林に、CSRの一環としてクヌギ苗の提供を行っている「住友ゴム工業㈱」さんから提供を受けた苗を植え、保護用のシェルターで覆い、鹿の侵入防止のためのネットを張り巡らし、クヌギ林の再生を図っている。今日も急な斜面で慎重に体のバランスをとりながら、踏ん張って汗だくになり、100本のクヌギ苗を植えた。明日はあちこちの筋肉が悲鳴を上げるだろう。今年が植樹3年計画の最終年。これから10年後、私がまだ森林ボランティアや炭焼きを続けられているかどうかは分からないが、きっと誰かが引き継いでいてくれることを信じながら、そのことを願いながら、仲間と一緒に苗を植える。
  


  

2018年4月18日水曜日

最後のサクラに


 
 「ウワミズザクラ(上溝桜)」。ブラシのような形をし、ちょっと桜には見えないのだが、れっきとした桜。今年は集中的に凝縮して咲いたので、あっという間に終わってしまった桜の季節だが、いつもならこの山で、「エドヒガン(江戸彼岸)」に始まり、「ソメイヨシノ(染井吉野)」、「ヤマザクラ(山桜)」と続く桜の季節が一段落し、ひと呼吸おいてGWの前に咲き出す。季節最後の桜である。このあとは、新緑と「ツツジ(躑躅)」の季節を経て、「エゴノキ(別名;チシャノキ/萵苣の木、ロクロギ/轆轤木)」、「ヤマボウシ(山法師、山帽子)」の季節へと移っていく。
  
 
   

2018年4月12日木曜日

ポスト桜、山の主役、脇役は ・・・





 
 いつも桜の後は、ひと呼吸おいて山の主役ががらっと変わるのだが、今年は並行して競演状態。といっても、ポスト桜の主役は、「コバノミツバツツジ(小葉の三葉躑躅)」。そして従うように、バラ科でリンゴと同属の「ハナカイドウ(花海棠)」、やはりバラ科で別名、「シデザクラ(紙垂桜、四手桜)」とも呼ばれる「ザイフリボク(采振り木)」と続く。

 そして地味な脇役が、「クロモジ(黒文字)」。家にも植えているが、花のあと茂ってくる若葉を煎じて「黒文字茶」を喫するのが、我が家の楽しみとなっている。
  
 
 
   

2018年4月1日日曜日

今年は時間差なしの一気咲き

 
 
春たけなわ。この日、伐採作業はやめて公園の花見に。3月に周辺の整備を行った天然記念物に指定されている「エドヒガン(江戸彼岸)」は、ほぼ満開。それを愛でながら、山頂へと向かう。この冬の厳しい寒さで春が遅れそうになった分、最近急速にあたたくなったことを受け、桜の前後に咲く花もまとめて、一気咲き。開花の時間差がないこんな年も珍しい。まずは、鮮やかな色で目を惹くのは、咲き始めた「コバノミツバツツジ(小葉の三葉躑躅)」。いつもは桜のあとに主役になる花。

 
 黄色い花の横に花の蕾のように若葉が目立っているのは、「ダンコウバイ(檀香梅)」。いつもは桜を待たずに散ってしまう花。
 
 
 この山にもそう多くは自生していない「キブシ(木五倍子)」の花。キブシ科キブシ属に属する雌雄異株の落葉低木。「フジ(藤)」のように、葉が伸びる前に淡黄色の総状花序につけることから、別名「キフジ(木藤)」ともいう。和名は、果実を染料の原料である「フシ(五倍子)」の代用として使ったことによるという。
 
 
 これは可憐。この山に多く自生する「タチツボスミレ(立坪菫)」。桜と同時期に日当たりの良いガレ場の斜面に群生して咲く。
 
 
 そして、淡いピンク色で先端が開いたラッパ状の小さな花を咲かせているのは、「ウグイスカグラ(鶯神楽)」。競うように 「ダンコウバイ」と同時期に咲く。