2016年3月13日日曜日

エドヒガンを迎える準備を急ぐ


 遊びの山の春は、「アセビ(馬酔木)」と「サンシュユ(山茱萸)」から始まる。そして、「コブシ(辛夷)」、「エドヒガン(江戸彼岸)」へと続く。「サンシュユ」の鮮やかな黄色に目を奪われながら、ここしばらくは「エドヒガン」桜の開花を迎えるため、群落周辺の整備を行っている谷へと急ぐ。


「エドヒガン」の群落は、水はけの良い谷筋に自生している。かなり足場の悪い急斜面の谷筋である。前日、一日たっぷり降った雨を含んだ斜面に、足を滑らせながら、桜の景観と生育の妨げとなる「ヒサカキ(非榊)」、「アセビ(馬酔木)」、「ソヨゴ(冬青)」、「アラカシ(粗樫)」などの常緑広葉樹を伐採してゆく。
  
 春を迎えようとしている「ヒサカキ」の枝には、蕾がびっしりと付いているが、情け容赦なく伐採していく。今日の作業を終え、振り返ってみると、森は見違えるように見通しが良くなり明るくなった。もう一息でこの周辺整備を終えることが出来る。「エドヒガン」の群落、今までと違って、どんな風に見えるのか。その楽しみもあと少しの辛抱である。
    

2016年3月11日金曜日

里山、奥山 ・・・


 公園にお願いしていた鹿対策のためのネット張りが完了した。今年と去年に台場クヌギを伐採した場所に、春になると萌芽してくるクヌギの若葉を鹿の食害から守るためである。昔は、人が利用する「里山」と、獣達のテリトリーである「奥山」とは、しっかり棲み分けられていたという。日本全国でその棲み分けがすっかり崩れてきているようだ。先日もTVで、今行われている奈良・東大寺二月堂のお水取りに使う大松明の竹が、猪の筍荒らしにより、適当な竹が育たず、危機に瀕しているといったニュースを報じていた。

 もちろんこんな無粋なネットなどないほうがいいのであるが、菊炭の伝統を受け継いでいくためには、クヌギの生育は欠かせないのである。これだけ鹿・猪が増え、被害が拡大して行く一方なので、抜本的に人と鹿・猪との共存策を考えなくてはならない時期に来ている。捕獲・駆除といった手段も短期的には有効であろう。しかし、里山放置林、林業の衰退、温暖化、生態系の変化等人間の側に起因する様々な問題をこのままに放っておいて解決するはずもない。時間はかかるだろうが、里山、奥山といったかっての棲み分けを時代に合わせて再構築できるかが鍵になるのではと思う。

 この月末には、クヌギの苗やドングリの移植を計画しているが、この作業を終えれば、本当に「今年の炭焼きを終えた」と言えるのである。
   
   

2016年3月6日日曜日

伐採後の後始末も大事な作業なのです


 春近し。我が遊びの山でも、日当たりの良い場所では、「アセビ(馬酔木)」が咲き始めた。「アセビ」は、その葉を煎じて殺虫剤に利用されるほどの毒性を持つため、鹿は食べない。奈良公園付近一帯は、「アセビ」の名所なのはこのためである。しかも、常緑広葉樹であるため、冬になっても枯れずに繁茂するので、我々の森の保全活動では、間伐対象の木の一つともなっている。


 炭焼きは終わったが、クヌギの再生林の後始末、林床整備をずっと続けている。クヌギの再生林の斜面には、炭材として使う窯木を降ろしたあと、大量の不要な枝や雑木の玉木などが散乱している。それらを片付け、地面に十分に陽が当たるようにしないと、今後10年かかってクヌギ林として育てる台場クヌギの新しい芽が生育しない。また、伐採された後の山に、再び多様な草花、それに連鎖するいろいろな虫や生物が戻ってくるといった多様性に満ちた里山の保全のためにも、この後始末は重要な作業なのだ。猫の目天気、昨日とは一転した時折小雪も舞う寒さの中で、ひたすらに林床整備をする。この片付けた枝や雑木は、チップ化され、堆肥や腐葉土となって再び森に返される。