2016年3月11日金曜日

里山、奥山 ・・・


 公園にお願いしていた鹿対策のためのネット張りが完了した。今年と去年に台場クヌギを伐採した場所に、春になると萌芽してくるクヌギの若葉を鹿の食害から守るためである。昔は、人が利用する「里山」と、獣達のテリトリーである「奥山」とは、しっかり棲み分けられていたという。日本全国でその棲み分けがすっかり崩れてきているようだ。先日もTVで、今行われている奈良・東大寺二月堂のお水取りに使う大松明の竹が、猪の筍荒らしにより、適当な竹が育たず、危機に瀕しているといったニュースを報じていた。

 もちろんこんな無粋なネットなどないほうがいいのであるが、菊炭の伝統を受け継いでいくためには、クヌギの生育は欠かせないのである。これだけ鹿・猪が増え、被害が拡大して行く一方なので、抜本的に人と鹿・猪との共存策を考えなくてはならない時期に来ている。捕獲・駆除といった手段も短期的には有効であろう。しかし、里山放置林、林業の衰退、温暖化、生態系の変化等人間の側に起因する様々な問題をこのままに放っておいて解決するはずもない。時間はかかるだろうが、里山、奥山といったかっての棲み分けを時代に合わせて再構築できるかが鍵になるのではと思う。

 この月末には、クヌギの苗やドングリの移植を計画しているが、この作業を終えれば、本当に「今年の炭焼きを終えた」と言えるのである。
   
   

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