2019年8月30日金曜日

マダニと山ヒルに気をつけながら ・・・



 ぐずついた日が続いているが、雨の間を縫って、今日も、「台場クヌギ」の再生林に植樹した「クヌギ苗」の手入れ。鹿の頭が届かないように、ツリー・シェルターを上方へずらす作業と、苗に巻き付いた蔓や下草の除去を行う。この作業も本日で終了。来週からは、我々森林ボランティアの本来的作業と言える、「ヒサカキ(非榊)」、「アラカシ(粗樫)」など常緑広葉樹の間伐作業にやっともどれる。思えば、去年は炭焼き関連作業を除けば、豪雨や台風の後処理に追われ、今年は鹿の食害対策にほとんどの時間を取られた日々であった。自然の中で、木を伐採するという爽快な作業に戻れる。



 この時期、「スズメバチ(雀蜂、胡蜂)」と並んで怖いのが、「マダニ(真蜱)」と「ヤマヒル(山蛭)」。どちらも草むらに潜んで、野生動物や人を待ち伏せし、その体に付着して、皮膚から吸血する。

 「マダニ」の場合、大変なのは、噛まれた痛みよりもむしろ、「日本紅斑熱」や、「SFTS(重症熱性血小板減少症候群)」などの感染症。死亡例も報告されている。「マダニ」は、咬み付いた箇所をセメント物質を分泌して固着し、吸血するため除去しづらくなり、虫の一部が残ってしまったりする場合があるので、皮膚科や外科を受診し、除去してもらうこと。また感染症対策のためにも、皮膚科での処置が望ましいとされる。

 先週我々の仲間も一人、付着したことに気づかないまま咬まれ、気づいたあと皮膚科で除去と感染症対策をしてもらった。

 「ヤマビル(山蛭)」。これは見るからに気持ち悪い。吸血性の「ヒル」としては、日本本土では唯一の陸生の「ヒル」という。体長は25-35mmでゴムのように倍くらいまで伸びるという。「ヤマヒル」は、毒や、病気を移す事はなく無害なので、皮膚から剥がしてしまえばいい。しかし、吸盤を使ってしっかりと吸い付いているのでなかなか離れにくい。山ヒルはとにかく乾燥が苦手なので、食塩、消毒用アルコールや忌避剤等をさっとかけてやるだけでコロっと取れるという。我々は大して傷もつかないので、爪で無理やり剥ぎ取っている。

 「マダニ」、「ヤマヒル」とも付着を防止するには、夏でも長袖・長ズボンの着用が原則。さらに、作業前に虫よけ剤を使用のもいい。そして、どちらも、「イノシシ」、「シカ」など野生動物が主な宿主。むやみに触らないことが大事である。我々は、作業後に相互に衣服をチェックして、付着がないことを確認して、作業を終えている。安全確認、本来業務と同じくらい大事なことである。

 

  
  一休みする傍らでは、片腕のもげた「カマキリ(蟷螂)」が、それでも斧を振り上げて私を威嚇している。クヌギ林の自然観察路では、「チョッキリムシ(チョッキリ虫)」が、ドングリに卵を産み付け、枝を切り落とした枝が散乱し、種を残す作業が本格化。もうここでは秋が始まっている。ワークショップで待っていたのは、自宅で採れたという「スイカ(西瓜)」。本日のご褒美。



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活動体験も受付けていますので、公園管理事務所(072-794-4970)まで
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 【 森のクラブイベントのお知らせ 】
 

 「木を使ったかわいい動物やクラフトづくり&竹パンづくり」
 
   9月15日(日) 10:00~14:00 ワークショップ集合  (雨天実施)
   参加費:300円(保険代、材料費等)
   定員:20名(申し込み先着)
 
   お申し込みは公園管理事務所(072-794-4970)まで
 












2019年8月23日金曜日

食物連鎖の森で ・・・


 
 一庫公園は麓に、「知明湖」というダム湖があるために、除草などに農薬は一切使っていない。そのため、時には鬱陶しく思うこともあるのだが、「虫の楽園」である。その虫を狙って鳥や小動物が、そしてそれを捕食する動物が集まってくる。その結果、多様な生き物が住むことによって、いわゆる食物連鎖が保たれている。
 
 ボランティア作業を終え、帰ろうとすると目の前に、どんぐりのついた「アラカシ(粗樫)」の枝がぽとりと落ちてきた。この時期にはよくあること。周りを見ると、もう結構、同じような枝が落ちている。「チョッキリ虫/ハイイロチョッキリ(灰色チョッキリ)」の仕業。上の写真、いわゆる「ドングリ」の椀の部分、「殻斗」に小さな孔が開いているのがわかるだろうか。「チョッキリ虫」はここに穴を開け、「ドングリ」の中に産卵するのである。そして、その産卵した「ドングリ」を葉のついた枝ごと切り落とす。幼虫が育った後、土に潜りやすいようにするためだという。卵から孵った幼虫は、「ドングリ」の果肉を栄養分に成長し、翌年の夏、成虫となるという。
 
 残念なことに、私は、「チョッキリ虫」の成虫の実物や、枝を切り落とす瞬間の成虫は一度も見たことないのだが、NETから拝借した下の写真のように、成虫は実に奇っ怪な姿をしてる。長く伸びた口吻で器用に穴を開け、枝を切り落とすという。これからあたり一面、チョッキリ虫」の切った葉で埋まる日も近い。
 


 こちらは、鳥か小動物にでも襲われたのだろう、結構大きな「カブトムシ(甲虫、兜虫)」の死骸。死してもなお角と艶やかな甲殻がその存在を感じさせる。通りかかった男の子に「欲しい?」と聞いたら、さすがに「いらない」と即答。多様な生き物の食物連鎖。そうそう、これから秋の時期にかけては、林の中に巣を作っている「スズメバチ(雀蜂、胡蜂)」にも注意しないと ・・・。




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2019年8月22日木曜日

茨の刺に手こずりながら ・・・




  今日も腰の丈以上に伸びた雑草の中、茨の刺に手こずりながら、汗だくになって、クヌギ苗のシェルターのかさ上げと、巻き付いている蔓なども含め、苗の成長を阻害している周辺の下草刈りを行う。これも、鹿の食害からせっかく植えたクヌギ苗を守るためである。幸いにも、食害に会わず順調に伸びた苗は、頭でっかちになっているので、強風が来るとひとたまりもなく倒れてしまう。余分な枝を剪定する作業も実施する。台風が来ても倒れずに耐えてくれたらいいが ・・・。


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2019年8月20日火曜日

残り少なくなった夏休みの公園で

 
 残り少なくなった夏休み。公園の「丘の流れ」の周りは、思い思いのテントを張って、水遊びを楽しむ家族でいっぱい。いい思い出作れたかな。


 

捕虫網で「トンボ(蜻蛉)」や「バッタ(飛蝗)」を追いかける子等も。私も夏休みの宿題の定番、昆虫標本を作ったことを思い出した。三角紙、防腐剤・殺虫剤、虫ピン、展翅テープなどを使って蝶の標本を作りました。公園のネイチャーセンターには、蝶や虫の標本がたくさんあります。


 こちらは、鹿の食害から守るため、金網を設置した「クヌギ(椚、櫟)」。効果あって、枝がだいぶ伸びてきたが、鹿の首が届く、枝は見事に若葉は食べられている。

 夏休みが終われば、また元の静かな公園に戻るが、なんとなく寂しい感じもする。


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2019年8月18日日曜日

えっ、本当 ? 蝉に恋する蛾って!



 園内の自然観察路をウォーキングしていたときのこと。目の前の木に一匹の「セミ(蝉)」がとまった。鳴かないので、確信はないが、「ヒグラシ(日暮)」の雌のようだ。しかし、よく見ると翅の下、左の脇腹に白い繭のようなものを抱えている。最初は、卵かとも思ったが、蝉は木に直接卵を産み付けるので、このような卵塊を持つことはない。


 そこで調べてみると、どうも「セミヤドリガ(蝉寄生蛾)」の幼虫のようである。その名のとおり幼虫が「セミ」に外部寄生する特異な「ガ(蛾)」である。それを知った時は、「えっ、本当!!」と思わず声を上げてしまった。なんとも奇妙な生態を持つ蛾である。

 関東以西の本州、四国、九州、韓国、台湾などの平地から低山地にかけて多く分布するという。(左の5齢幼虫・成虫の写真はWikipediaより)

 7月下旬~8月上旬頃から、ほとんどが「ヒグラシ」で、「ヒグラシ」でも、特に雌への寄生が、多いという。日中でもやや暗いような、林の中で、幼虫が「ヒグラシ」に寄生しているのが多く見られる。幼虫が見られるのは、寄生の対象である「ヒグラシ」の成虫の初出から、10日から20日くらいの後である。

 私の見た幼虫は、白色の綿毛で被われているところを見ると、5齢幼虫のようであり、寄生しているのだから、成長するために、「セミ」の体液を吸うのであるが、吸うための特別な構造は確認されておらず、どのようにして吸っているかの詳細はよくわかっていないという。このあと5齢幼虫は機を窺って「セミ」の腹部から糸を吐きながら脱落し、繭作りのための場所を探すという。

 8月中旬頃に最初の繭が見られるようになり、10月頃まで続く。8月下旬頃になると最初の繭から新成虫が羽化し、産卵し始める。以後10月が終わるまでには、「セミヤドリガ」は全て成虫になり、産卵を終える。

 10月が終わると、「セミヤドリガ」の幼虫も成虫も見られなくなり、卵は翌年の新しい宿主、「セミ」の成虫の出現を待って、冬と春を過ごすという。(参考;Wikipedia)

 いや初めて見ました。「セミヤドリガ」の幼虫が寄生した「ヒグラシ」。「ヒグラシ」にも何らかのメリットがなければ、相当な迷惑だと思うのだが ・・・。「蝉」に恋する蛾でしょうかね。俗説では、羽化後の蝉の寿命は1週間と言われていたが、実際は1ヶ月以上生きる例も報告されているという。しかし、短い逢瀬であることには違いない。

 犬も歩けばなんとやら。公園で活動を続けていると、珍しい生き物やその活動に会うことも結構多い。定年後始めた「森林ボランティア」活動で、木の名前も、花の名前も、昆虫の名前なども随分と覚えた。これもなかなか素敵で楽しいことである。

 観察路をさらに歩いていくと、まだあまり成長していない「クヌギ(櫟、椚)」の「ドングリ(団栗)」が枝ごと落ちている。枝の断面を見ると、スパッと刃物で切ったような断面。「ドングリ」に孔をあけて卵を産み、その後で枝を切り落とす「ハイイロチョッキリムシ」の仕業だ。これから秋になると、ますますその活動が活発になり、「クヌギ」や「コナラ(小楢)」の樹の下一面に、「チョッキリムシ」が切った枝が散乱する。その活動がもう始まったのだ。





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2019年8月17日土曜日

子供たちはロケットが好き







 台風明けは猛暑。にもかかわらず、一庫公園の活動グループ、「ひとくら青空クラブ」のイベント、「ペットボトル・ロケットを作って飛ばそう!」のお手伝い。

 3家族が参加し、午前中にロケットを作り、午後から試射をする。私が知っている限り、近隣でペットボトル・ロケットを作って飛ばしているところは、ここ一庫公園以外に知らない。そんなこともあって、安全には十分な注意を払って飛ばしている。

 今日作った子供たちはもちろん、以前のイベントに参加した子供たちも、マイロケット持って飛ばしに来る。公園の広場の一部を1時間ほど占拠するので、当日飛び入り打上参加もOK。公園に遊びに来ていた多くのギャラリーが見守る中、ロケットは水煙を上げ、高々と青空へと飛び上がった。あがる大歓声。この暑さの中、爺さんたちは熱中症に罹ることもなく、無事イベント終了。




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2019年8月8日木曜日

こんな日は頑張らない、それが鉄則




 今日もカンカン照り。今日の作業は、植樹したクヌギ苗に、鹿除けのために被せているツリーシェルターのかさ上げ。上の写真のように、鹿の頭が届かない苗では順調に育っている。一方、下の写真のように、頭が届くところ、それも前足を掛けて、首を伸ばしているようだが、そんなところはシェルターの上端部から上は見事に食べられている。これでは、一向に苗は成長しない。
  
 そこで、シェルターを上にずらし、鹿の口が届かないようにする作業。熱中症が怖いので、こんな日は頑張らない。こまめに休んで水分補給。これが高齢者ボランティアの鉄則。1時間ほどで作業は切り上げたが、意外と捗って、1/3ほど終えることができた。


 休憩している時に見つけたのは、「ニイニイゼミ」の抜け殻。体が丸っこくて小さく、形も大きさも「カナブン(金蚉、金蚊)」そっくりで、何故か、必ず泥だらけなのですぐわかる。暦の上では、「立秋」。もうしばらくすれば、暑さも和らぐ。


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2019年8月6日火曜日

丸山湿原でサギソウを見る(番外編)





 「サギソウ(鷺草)」が咲いたという知らせ。今年もまた、この猛暑の中を「丸山湿原」まで車を走らせる。「丸山湿原」は、宝塚市西谷地区、「宝塚西谷の森公園」近くにある兵庫県内最大規模の湧水湿原群で、合計面積は、約3,900㎡。「一庫公園」と同じように、「北摂里山博物館」のひとつ。ボランティアの皆さんの保全活動により、動物89種、植物153種におよぶ生態系が維持されており、平成26年4月に、宝塚市教育委員会により「宝塚市天然記念物」に指定され、現在は県の天然記念物となっている。



 駐車場に車を置き、林の中を15分ほど歩くと「丸山湿原」。第1湿原、第2湿原はまだチラホラであったが、奥の第4湿原はかなりの数が咲いていた。ラン科の多年草で、花の大きさは約3センチ。兵庫県版レッドデータブックでは、絶滅の危険が増大している種のBランクに指定されている。花の後ろに垂れ下がる「距(きょ)」の中に蜜を蓄えるという。一時は絶滅の危機もあったらしいが、今年もその名のとおり、鷺が舞うような純白の優雅な姿を見せてくれる。誰も訪れる人がいない中で、贅沢な時間を独り占め。 





 同じく兵庫県版レッドデータブックで、Cランクに指定されている、体長わずか2cmで、「日本一小さいトンボ」の「ハッチョウトンボ(八丁蜻蛉)」や、蝶も見ることができた。ずっとこれからもこの生物多様性が維持されていくことを願うばかり。

 


 湿原には、「ミズギボウシ(水擬宝珠)」、林道のあちこちには、採ったキノコを刺して持ち運んだことからその名が付いたという、「チダケサシ(乳茸刺し)」、「ヒヨドリ(鵯)」が鳴く頃に開花することから付けられたという、「ヒヨドリバナ(鵯花)」 も咲き出している。目の前を、野うさぎが駆け抜けていった。空は真っ青、蝉時雨。夏本番。


 

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2019年8月1日木曜日

猛暑の中で ・・・



 
 
 

 
 鹿は待ってくれないので、この猛暑の中でも熱中症に気をつけながらの作業。日差しを遮るものがないので、本当にカンカン照りがモロにこたえる。クヌギ再生林の台場クヌギへの保護金網の設置を今日で終える。なんとか30本の台場クヌギを生き残らせることができたようだ。
 
 来週からは、ここ3年間植えたクヌギ苗のシェルターの見直しに取り掛かる予定。そう言っている間に、すぐ秋。来年の炭焼きの準備に取り掛からなければならない。
 
 ダム湖畔のあちこちに咲いているのは、今年は開花が遅かった「クマノミズキ(熊野水木)」。
 
 
 

 
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