2013年1月16日水曜日

炭焼き四日目 ~後は天にまかせなしゃあない~


 炭焼きも四日目である。公園事務所の前に植えられている蕾が大きく膨らんだ「ミツマタ(三叉)」を見ながら窯へと向かう。この木は古くから和紙の原料として有名であるが、早春に外側が白色で内側が黄色の可憐な花が咲く。この公園で一番最初に咲く花でもある。

 今日の作業は「くどさし」。「竈(くど)」とは、「竈(かまど)」のうち、その後部に位置する煙の排出部を意味する言葉だという。そして、「さし」とは「鎖し」、閉ざすことを意味するらしく、すなわち「くどさし」とは、窯の排煙口を閉鎖し、空気を遮断することによって、燃焼を止めることである。

 この工程は、炭焼きの中でもかなり重要な作業で、このタイミングが早すぎれば、生焼けの炭ができ、遅すぎれば灰になってしまうのである。そのタイミングを決めるため、朝からほぼ1時間ごとに排煙口の温度を計測し、マッチの点火時間を測定する。炭焼き二日目の燃焼が十分に足らなかったためか、なかなか窯内の温度が上がらず、燃焼が進んでいないと推測されるので、「くどさし」の判断が出来ない。開口を全開にし、どうにか、日暮れまでには完了したいと皆にやや焦りの色が濃くなる。

 そして、15時30分、排煙口の温度は300℃を大幅に超え、マッチの点火時間も申し分ない結果が得られた。「くどさし実施」の判断である。排煙口を石板で蓋をし、土で覆う。そして、窯口も土で覆って埋め、完全に空気を遮断する。これで「くどさし」完了。さあ、どういう炭が焼けるのか? 人事は尽くしたのである。賽は投げられたのであるから、ここからは「運を天に任さなしゃあない」ということである。例年初回の炭焼きは、窯が冷えていることもあって、出来がよくない。さて、11日後の窯出しが楽しみである。
  
  

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