2013年1月14日月曜日

待ちに待った炭焼きの二日目



 二日目 ・・・。ただひたすらに火を燃やす一日である。例年、約8時間ぐらい燃やす。

 朝9時に集合。古式の則り、火打石による点火からこの日の作業が始まる。今回は先達の方に点火を行ってもらったが、実は私はその先達から教えてもらい、「マイ火打石」を持っているのである。次回ぐらいからは私がやってみようかとも思っている。
  
  
  
  
  

 日本における「火打石」の歴史は古く、「古事記」において、「倭建命(やまとたけるのみこと)」が叔母の「倭媛(やまとひめ)」から授かった袋に入った火打道具を用いて、富士の裾野で襲い来る敵から難を逃れた話がよく知られ、また「養老律令軍防令」においては、兵士50人ごとに「火鑽(ひうち)」1具と「熟艾(やいぐさ)」と呼ばれるモグサなどで作った火口1斤の携帯を義務付けたという記述があるという。

 炭を作る原理は単純で、「木-煙=炭」が基本である。従がって、木から水蒸気、セルロースなどを熱を加え、煙として取り除けば、炭ができるという理屈である。だから、いったん火をつけたら、あとは窯内の温度を、窯木が自然に熱分解を起こす温度の600度程度に上がるまで、ただひたすらに火を燃やす。窯木を燃やして炭を作るわけではないのである。窯内がその温度に達したかどうかは、窯内の温度を測ることができないので、煙突や窯口から吹き出す煙の色、窯口の炎の状態、温度などで判断するのである。


 600度程度に窯内の温度が上がったと判断したら、空気を供給する空気調節口のみを残して、薪の供給を断ち、窯口をレンガと粘土で遮蔽する。これで窯木は、窯内の温度で熱分解が進行する、いわば蒸し焼き状態となり、熱分解をさらに進行させて、完全に炭素部分のみが残り、炭へと至るのである。窯口で火を焚くのが約8時間程度の比べ、蒸し焼き状態にしておくのが、約1日半」、36時間であるから、窯木を燃やして炭を作るのではないということが理解していただけよう。窯口の熱い温度に耐えながら、レンガを積み、粘土で固めていく。まさに「3K作業」である。これでこの日の炭焼き作業は完了。

 作業の合間を縫って一般の体験参加者に山の手入れや里山、クヌギ再生林などについて説明するために、自然観察路を歩いていたら、もう「コブシ(辛夷)」の花の蕾が大きく膨らんでいるのに気がついた。今年は、少し開花が早そうである。


  

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