2021年11月10日水曜日

炭焼き入門講座(3) 炭窯の中はどうなっているか

 

 

 今日は、本番の「炭焼き」にちょっと近づいた話。写真は、我々が使っている炭窯である。この炭窯は、黒川地区で生業として炭を焼いている今西氏の指導により、「しごき打ち」と呼ばれる方法で、平成15年(2003)に作られました。炭窯は使わないと崩れやすく、メンテナンスをしながら、うまく使えば 百年使えるといわれています。特に天井は土だけでできているので崩れやすく人や獣が天井に上らない様、対策を講じていますが、現実に崩落した例も見聞きしています。我々も炭焼き前後に必ず点検をし、都度補修を行っています。炭窯を作ったり、補修するには良質の粘土が必要であり、この公園には、その粘土を採取できる場所がいくつかあります。また、窯が湿っているといい炭がや焼けないので、雨が窯に流入しないとように対策をしたり、時には窯を開け、風を通したりしています。

 ところで、炭窯には、「一庫炭」のような、「ナラ(楢)」系の木材が多く使われる「黒炭」を焼く「黒窯」と、「ウバメガシ姥目樫)」など、堅い「カシ(樫)」系の木を原材料とする「備長炭」のような「白炭」を焼く「白窯」とがあります。製法が違うため、窯の構造もすこし違います。この入門講座では、「黒炭」、およびそれを焼く「黒窯」についての話ですので、ご承知おきください。




 窯の構造です。入口(焚き口)は狭く、這って入らなければなりませんが、中は意外なほど広く、普通の人なら立って作業ができます。窯の一番奥の下側に、「弘法の穴」と呼ばれる排煙口(クド)につながる穴が開いています。この炭窯による炭焼きの技術を、「弘法大師」が中国より持ち帰ったという伝承により名付けられたといいます。まあ、この時代のハイテクはすべて弘法大師が持ち帰ったということになっていますから ・・・。


  
 この窯に、炭の材料である長さ80㎝に切った「クヌギ」の窯木、約500本を縦に、その上に炭化を助長するための「バイタ」と呼ばれる枝葉を束ねたもの、約80束をぎっしりと詰めます。暗闇の中、裸電球下での作業、結構大変です。「炭を焼く」と言いますが、「窯木」を焼くのではなく、窯木と焚き口をトタン板で隔て、焚き口で薪を燃やし、その熱風を窯の中に送り込んで、窯木が自分で熱分解を起こしていく温度、500~600℃まで上げるのです。熱風や木に含まれている水分、有機物が分解し、煙となって無くなったあと、高融点の炭素が残って炭になるわけです。
  
 熱風がまんべんなく窯内を繰り返し巡り、窯の温度を上げていくために、絶妙な位置と大きさで「弘法の穴」がついていると、先人の知恵に感心します。最初は、熱風が巡りにくく、温度が上がりにくいため、天囲口(天井口)を開け、煙が回りだし、道ができたら閉めます。「炭焼き」なんてローテクの塊かと思いきや、何の何の、我々から見ても、科学的で合理的な知恵が詰まっていると感心します。
  
 さあ、(1)、(2)、(3)と入門講座を読んで、俄然、炭焼きに興味をもった方、12月から炭焼き体験塾の募集が始まります。下のパンフレットを読んで、ぜひご応募してください。そして「ひとくら森のクラブ」へも入会を ・・・。お待ちしています。





【 新会員募集中 】
 
ひとくら森のクラブでは新会員を募集しています。

森林ボランティアや炭焼きを楽しみたい方ならどなたでも結構です。
自然に親しみながら楽しく活動してみませんか。

11月からは菊炭の材料となるクヌギの伐採が始まります。
お手伝いいただけると大変助かります。

公園管理事務所(072-794-4970)まで
お問い合わせください。  
 




   

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