2014年8月23日土曜日

続・秋が少し見えた ~ カシナガの活動も始まる ~



 秋は虫にとって子孫を残す活動期である。遊びの山では、前回の「チョッキリ虫」に続いて、「カシナガ」の活動も始まった。「カシナガ」、正確には、「カシノナガキクイムシ」といい、ミズナラ、ブナ、コナラ、クヌギなどのナラ類、シイ、アラカシ、シラカシなどのカシ類など身近な森林を形成している馴染のある広葉樹に、「ナラ枯れ」と呼ばれる被害を与える害虫である。「ナラ枯れ」は、「ナラ菌」というカビの仲間の病原菌が原因で、その病原菌を媒介するのが、写真にある体長5mm程度の「カシノナガキクイムシ」である。

 「カシナガ」は、病原菌を体内に入れて運び、夏から秋に樹木に無数の穴をあけ、卵を産み付け、翌年の6月にその幼虫が羽化し、また新しい樹木に卵を産み付け ・・・といったことを繰り返すのである。ナラ菌は孔道を伝わって蔓延するため、ひどい場合は、水分が上がらなくなり、真夏から晩夏にかけ急速に葉が萎れ、茶色や赤茶色に枯れてしまう。樹木の周囲には、「フロス」と呼ばれる穿孔した木の粉が散乱することも特徴である。樹齢の長い、大径木が被害を受けやすく、また被害を受けても、全て枯れるわけでもないので、山が丸裸になるというようなことはないようだ。 

 しかし、いずれにしても山にとっても木にとっても好ましいことではないのである。しかも、遊びの山は炭材用のクヌギやコナラが多い、かっての里山である。冬に見つけた被害木には対策を打ったが、産卵の季節を迎え新たな被害木が見つかった。写真のように、根に近いところにいくつもの穴があけられ、フロスが散乱しているのがよく見てとれる。来年の羽化する時期までには、調査をして対策を打たねばならないだろう。山で遊ぶにも、結構、やらねばならないことは多いのである。
  
  

2014年8月22日金曜日

秋がすこし見えた ~ チョッキリ虫の活動始まる ~



 我が住宅地の近辺に比べ、遊びの山ではちょっぴり早めに秋の気配が濃厚に。いつもながらの仕事師、「チョッキリ虫」の活動が始まった。、「チョッキリ虫」が見せる職人芸は、「クヌギの枝の切り落とし」。正確には、「ハイイロチョッキリ」である。体長(口吻を含まない)が、8㎜前後のオトシブミ科の甲虫である。9月ごろに、クヌギ、コナラなどの実(ドングリ)に卵を産み、その後、枝ごと切ってドングリを地表に落としてしまう。そうやって産みつけた卵は、翌年の初夏に羽化する。

 まるで剣豪が切ったような、その枝の切り口の見事さと、どんぐりの真ん中に正確に穴を開けるその技には、いつもながら感心する。秋がすこし見えた ・・・。
  
  

2014年8月15日金曜日

嵐が去った後の森を片付ける



 嵐が去った後の「遊びの山」に入る。台風が直撃に近かったためか、あの強風で、いたるところで、枯れ木が倒れたり、枝が折れたりしている。自然観察林を訪れる来園者の散策の邪魔になるし、なにより安全のために、台風後には、いつも散策路をふさぐ折れた木の伐採や、垂れ下がったり、散らばったりしている枝の片付けという作業を行っている。いまはお盆休みなので、朝から家族連れの来園者で一杯である。早く片付けねばと、今回も午前中いっぱいかかって、3コースある散策路の片付けを行った。もう汗びっしょりであるが、斜面を吹き上がってくる風が心地よい。

 台風後、いつもより森の薫りがきつく感じるのは気のせいか ・・・。猪がいたるところで、餌を求めて枯葉の堆積している地面を掘り返した跡がある。この猛暑と台風、彼らも生き延びるのに必死なのだ。片付けを終えて下ってくると、仲間の一人が丹精込めて作った西瓜が待っていた。

2014年8月1日金曜日

鹿から守る ・・・



 前回、「鹿の食害」のことについて少し触れた。そして、鹿の被害は、古くからこの地域に伝わる「炭焼き」技術の伝承をしようとしている我々の活動に必要な「菊炭」の原木を育てているクヌギの再生林にまでも及んでいることを書いた。若芽や若枝を食べられてしまった「台場クヌギ」は成長しないのである。

 現実には鹿の捕獲や駆除は難しい。そこで、いろいろの案の中から、自衛手段として検討を始めたのが、ネット状のフェンスを再生林に張り巡らして、鹿の侵入を防ごうという試みである。昨年から、一部に実施をしてみた。やはり、効果があるもので、写真の様に、昨年11月に伐採した切り株から新芽が出て、成長している。これが鹿に食べられなければ、台場クヌギとして順調に成長して、8~10年後には、炭材として手頃な太さまで成長するのである。うん、鹿から見ればおいしそうに見えるんでしょうね。
  
  

2014年7月30日水曜日

無残にも ・・・


 木漏れ日の林の中で一際目立つ異様な木。樹皮が剥げ、露出した木肌が真っ黒になっている。この山に住む野生の鹿の仕業である。被害木は、自生している柿の木。樹皮が剥がされたあと、自分を守るため、柿が樹液(タンニン?)を出し、こんな色になったのである。柿の栽培農家では、樹皮の下は害虫の住家になるので、病害虫予防のために、敢えて樹皮を剥ぐというが、それとは全く違う。この鹿による樹皮食害、この山の柿の木だけならば、どうってことはないように思えるが、実は柿の実は冬には野鳥の大好物となっているのだ。被害は、「菊炭」の原木となるクヌギの再生林にまでも及んでいる。そして、スギ(杉)、ヒノキ(檜)など近隣の林業の現場でも深刻な問題となっている。若芽や若枝を食べられてしまった台場クヌギは成長しないし、幹の全周を剥皮されたスギ、ヒノキはやがて枯死してしまう。また、一部を剥かれただけでも菌が侵入、材質が低下し商品価値が全くなくなってしまうという。
 

 この近辺の多くの里山林では、鹿が背伸びして樹木の約1.5m以下の枝葉を全て食べ尽くしてしまうため、 枝の下の線が揃い、林の奥まで見通すことができる。これを「ディア・ライン/deer line (鹿摂食線)」と呼び、「奈良公園」などで最も顕著に見られる。(写真は奈良公園、NETより拝借)

 適応力の強い種だけが生き残っていく、それが自然の摂理には違いないのだが、一方で「生物の多様化が必要」ということが言われてから久しい。しかし、森に関して言えば、この鹿の食害問題を解決しないことには、多様化した植生を持つ森林など再生できないことも事実。
  
  

2014年7月9日水曜日

子供達とヤマモモを採る



 子供達と「ヤマモモ(山桃)」を採取した。同じ公園で活動している別の団体が予定しているジャムやジュース作りの「食育」のイベントのためのお手伝いである。この週末にでもと予定をしていたが、台風8号の接近のため、早めに採取しておこうと、8分程度の熟し方で、「ちょっと早いかな」とも思ったが、台風が来れば皆落ちてしまうので、早めの採取をした。この公園には多くの「ヤマモモ」があるが、大粒で、甘味の強い木は数本に限られていて、完熟すると、そのことをちゃんと知っている多くの野鳥や虫が集まってくる。

 ビニールシートを敷き、枝を揺すると、バラバラとまるで雨霰(あられ)のように落ちてくる。私の子供の頃は、おやつは自分たちで採取したものだが、自分たちで実などを採取したことがない子供たちは、「キャア!キャア!」と言って喜ぶ。短時間の間にたくさん取れた。あとは野鳥や虫のために残しておこう。

 何回か「ヤマモモ・ジュース」を作ったことがあるが、結構たいへんな作業だし、砂糖も多く使う。 今回は食後のデザートにあの甘酸っぱい味をつまんで楽しもうと、少し家に持って帰った。
  
  

2014年7月7日月曜日

野生の痕跡


 先日の山作業で見かけた光景。写真ではちょっとわかりにくいが、猪が枯葉の堆積した地面を掘り返して、虫や虫の幼虫、ミミズなどを探した痕である。基本的に猪は、森に生えている植物の地下茎・果実・タケノコなどを食べるという草食に非常に偏った雑食性であるが、季節の変化に応じて、昆虫類、ミミズ、サワガニ、ヘビなども食べるという。そんな餌漁りの痕の写真である。また、遊びの山には、猪が、ダニ等の外部寄生虫を落としたりするための、泥浴を行う「沼田場(ヌタバ)」と呼ばれる場所もある。猪が横になり、転がりながら全身に泥を塗る様子から、「苦しみあがく」という意味の「ぬたうちまわる(のたうちまわる)」という言葉が生まれたといわれてる。

 この地域は、上方落語の「池田の猪買い」などにあるように、猪が昔から有名である。鹿と並んで食害も結構多いため、山沿いの田畑では電柵などが必ず設置されている。地域の肉屋には冬の季節になると、「牡丹鍋」用の猪肉、「牡丹肉」が、ごく普通に販売されている。そして我が住宅地ではないが、神戸の方では、「餌付け」などによって人間の食物の味を覚えてしまった猪が、住宅地付近にまで出没し、民家の庭や路上のゴミを荒らしたり、住民などに噛み付くなどの人的被害も頻繁に報じられている。元来は非常に神経質で、警戒心の強い動物である。そのため、我が遊びの山では、餌探しや泥浴の痕跡はよく見かけるが、鹿などのように遭遇したことはまだ一度もない。棲み分けをするためには、やはり「餌付け」が良くないことがよくわかるのだ。
  
  

2014年6月22日日曜日

梅雨の最中に咲く水木


 写真は「クマノミズキ(熊野水木)」である。遊びの山を取り巻くダム湖の岸のいたるところに自生している。名前の由来は、「三重県熊野に産するミズキ」の意味である。遊びの山にもある「トサミズキ(土佐水木)」など、「土地の名前+ミズキ」の名を持つ樹木も他にもあるが、「トサミズキ」はマンサク科で3月に花が咲き、「クマノミズキ」はミズキ科の落葉高木で、ちょうどあまり花木がない梅雨のこの時期、いささか地味であるが今が満開である。

今日は久しぶりに子供達と「ペットボトル・ロケット」を作るイベントの日。「午後からは雨が止む」という天気予報を信じて、多くの家族連れが公園に集まってきた。午前中はロケット製作に勤しみ、予報通り雨が止んだ午後からはロケットを飛ばす。いつもは大勢の家族連れが遊んでいる芝生広場、午前中の雨のため誰もいない独り占め状態。そのため、ロケットをいつもより思い切り遠くまで飛ばすことができたので、子供たちは大満足であった。

 気がつけば、公園のあちこちにある「ヤマモモ(山桃)」の木にはもう大きな実が ・・・。あと3週間もすればすっかり熟して食べ頃になるだろう。もちろん野鳥たちも、虫たちも大好物で狙っているのだが ・・・。

 さて、今年はヤマモモのジュース作りでもしてみようか ・・・。
  
  

2014年6月6日金曜日

もし手を入れなければ ・・・


 今日の山作業は、クヌギ林の外来種の駆除。少し前のブログで、下草刈りなどの手入れをして、クヌギ林の地面まで陽の光が差し込むようにしていることを書いた。この時期の手入れ作業の一つが、外来種の除去である。陽の光が差し込み、花木やいろいろな植物が増えるのはもちろん喜ばしいことであるが、招からざる客、外来種も増える。厄介なのが、「ヨウシュヤマゴボウ(洋種山牛蒡)」。大きくなると高さが2mを超えて、まるで「木」のように見えるが「草」なのである。北アメリカ原産で、日本では明治時代初期以降、各地で雑草化している帰化植物である。有毒植物で、「宿根草」、茎は無毛で赤く、葉は大きく、根はまさに牛蒡か自然薯のよう。7月には、可憐ともいえる小さな白い花をつけるのでその時期が来る前に駆除してしまう必要があるのだ。

 とはいえ、この作業は人海戦術でしかできない。急な斜面で体を安定させながら、鶴嘴(つるはし)をふるっての駆除作業。1時間ほどで300本ほどの「ヨウシュヤマゴボウ」を駆除したが、例年の3日がかり、1,000本を超える数からすると少ない。これは去年、昨年と駆除した効果なのか、これから梅雨を迎えて一気に繁茂して増えるのか、少し様子を見ないと分からない。この作業をしていつも思うことは、人の手が入らなかったら、見る見るうちに森や山は荒れてしまう。特に、人が楽しんだり、かかわったりする森には手入れが必要なのである。
  
  

2014年5月22日木曜日

クヌギの森に陽が差し込む


 明るい陽が差し込んだ「台場クヌギ」の森に「モチツツジ(黐躑躅)」が咲いている。遊びの山のクヌギの再生林である。1mぐらいの高さのところでクヌギを伐っても、翌年その切り株からまた新しい芽が出てくる。こうして育ったクヌギを、「台場クヌギ」という。炭材として適当な太さに育つのに、どんぐりから育てるのであれば、10~15年かかるところを、「台場クヌギ」であれば、8~10年で育つ。一つの株から効率よく何回でも繰り返し、炭材が得られるという、昔の人の知恵である。こんなクヌギ林の下刈りや外来種の除去などの手入れもしているが、陽ざしが差し込み、明るくなった森に咲くツツジを見ていると、我々の活動も少しは役に立っているかなと実感する。

 そして今日は、兵庫県が大震災後、この時期各地域で実施している中学生の仕事体験、「トライヤル・ウィーク」で公園に来ている中学生4人連れての山作業。ちょっとくらいは山の手入れの大切さがわかってもらえただろうか。