2014年7月7日月曜日

野生の痕跡


 先日の山作業で見かけた光景。写真ではちょっとわかりにくいが、猪が枯葉の堆積した地面を掘り返して、虫や虫の幼虫、ミミズなどを探した痕である。基本的に猪は、森に生えている植物の地下茎・果実・タケノコなどを食べるという草食に非常に偏った雑食性であるが、季節の変化に応じて、昆虫類、ミミズ、サワガニ、ヘビなども食べるという。そんな餌漁りの痕の写真である。また、遊びの山には、猪が、ダニ等の外部寄生虫を落としたりするための、泥浴を行う「沼田場(ヌタバ)」と呼ばれる場所もある。猪が横になり、転がりながら全身に泥を塗る様子から、「苦しみあがく」という意味の「ぬたうちまわる(のたうちまわる)」という言葉が生まれたといわれてる。

 この地域は、上方落語の「池田の猪買い」などにあるように、猪が昔から有名である。鹿と並んで食害も結構多いため、山沿いの田畑では電柵などが必ず設置されている。地域の肉屋には冬の季節になると、「牡丹鍋」用の猪肉、「牡丹肉」が、ごく普通に販売されている。そして我が住宅地ではないが、神戸の方では、「餌付け」などによって人間の食物の味を覚えてしまった猪が、住宅地付近にまで出没し、民家の庭や路上のゴミを荒らしたり、住民などに噛み付くなどの人的被害も頻繁に報じられている。元来は非常に神経質で、警戒心の強い動物である。そのため、我が遊びの山では、餌探しや泥浴の痕跡はよく見かけるが、鹿などのように遭遇したことはまだ一度もない。棲み分けをするためには、やはり「餌付け」が良くないことがよくわかるのだ。
  
  

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