2015年1月15日木曜日

妖しの炎は炭化が順調に進んでいる証拠



 さて、炭焼き三日目と四日目のレポートである。窯内の温度が窯木が自身で熱分解を起こす温度(300~400℃)に達したため、薪を燃やすのを止め、空気孔を残し、窯口をレンガで遮蔽するところまでが前日の作業であった。三日目は、温度計で排煙口の温度を測り、窯内の温度を推定しながら、空気孔の開け具合を調節する。これは、ゆっくりと炭化を進行させ、翌日の日中に「くどさし」と呼んでいる、窯内への空気を遮断し、それ以上の炭化、すなわち灰になってしまうことを防ぐための作業を実施したいがための調節である。

 冒頭の写真のように、補助口から窯の内部を覗いてみると、倒れ掛かったトタン板の奥に、熱分解を起こして真っ赤になった窯木がかすかに見える。なんと妖しく、そして不思議で美しい赤なんだろうか。


 そして、四日目。いよいよそのときを迎える。炭焼きの工程の中で最大の山場である「くどさし」である。このタイミングが早すぎると生焼け状態となり、遅すぎると灰化が進んでしまう。炭の出来栄えを決める重要なポイントである。我々は、「くどさし」を行うか否かを、窯内の温度の想定、煙の色と出方、排煙口でのマッチの点火時間で判断をしている。この日も朝から温度測定を繰り返していたが、窯焚きに用いた薪の乾きが良くなく、その影響が後々まで及び、なかなか温度が上がらない。空気孔は全開にしたままである。これは、熱分解、炭化の進行が遅れていることを意味するので、すこしハラハラしたが、どうやら、「くどさし」の時期を迎えたようである。
 

 排煙口をしっかり閉じ、窯口の空気口も閉じて、砂で完全に覆ってしまう。これで空気は完全に遮断され、炭化の進行は止まり、徐々に窯の温度は下がってゆく。プロの炭焼き師は、炭焼きの効率を上げるために、100度もある窯に入り炭を取り出すというが、我々はそんな危険なことはできないので、十分に窯が冷えた10日ほど経ってから炭を取り出す。この「くどさし」を終えたあとはもうなす術は何もない。後はいい炭ができるようにと天に祈るばかりである。さて、どうなりますか ・・・。
   
    
   

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