2017年7月1日土曜日

やっかいな羽化の季節



 6月初旬、「カシノンガキクイムシ」(以下、カシナガ)のもたらす「ナラ枯れ」への対策を急いで終えたばかり。

 しかし、「コナラ」の根元に大量のフロス発見。対策漏れの被害木から、「カシナガ」が羽化し、飛び立ったのである。

 「カシナガ」は、大群で、健全な「ミズナラ(水楢)」、「コナラ(小楢)」、「カシ(樫、橿、櫧)」類を中心とした木に飛来し、集団で穿入する。そして穿入した木の中で、卵を産み、越冬する。その時に、「ナラ枯れ」の原因となる「ナラ菌」を伝搬し、その繁殖により、樹幹の水分通道機能が悪化し、ひどければ急激に枯死にいたる。

 羽化して成虫となった数千匹の「カシナガ」は、翌年7月になると、また飛び立ち、付近の健全な「ナラ」類に飛来し穿入する。それを繰り返すという厄介な虫である。我々の対策は、羽化し、新しい被害木を求めて飛び立つ前に捕獲するために、前年に見つけた被害木に専用の粘着テープを被害木に巻くという方法を採っている。しかし、この広い公園で全ての被害木に対策をするのは、時間的にも予算的にも無理であるが、この方法を続けることにより、確実に被害木を減らしてゆくことができると考えている。

 被害木が発見された2013年の翌年、2014年から対策を続けているが、定点観測エリアでは、8本、20本、45本、25本と一昨年をピークに被害木が減少し始めている。効果が出てきたと期待したい。しかし、気を緩めることなく、まだまだ、虫との戦いが続く。

 こんな里山林の保全や炭焼きなど、森林ボランティアとしての地道な活動が評価されたのか、今年の6月10日、「みどりの愛護」のつどいで国土交通大臣表彰を頂いた。

 

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