2016年5月12日木曜日

山師たちの道標



 遊びの山の山頂付近。咲く白い花は、「ハクサンハタザオ(白山旗竿)」。その脇に茂る「シダ(羊歯)」の仲間は、別名、「金山草(かなやまそう)」ともいわれる、「ヘビノネゴザ(蛇の寝茣蓙)」である。どちらも重金属を蓄積する奇妙な植物で、金・銀・銅山などの露頭や鉱床にはつきものの植物。いわゆる「山師」といわれる金属鉱脈を探す昔の人たちは、経験的にこれらの植物を道標(みちしるべ)、指標植物として利用していた。

 「ヘビノネゴザ」は、銅と鉛を主として集積する性質があることが近年わかってきたが、植物の種類や部位によって、蓄積される金属の種類も異なるという。


 北摂には、我が遊びの山、ボランティア活動のフィールドとしている一庫ダムの「知明山(奇妙山)」を中心として箕面市、池田市、川西市、宝塚市、能勢町、豊能町、猪名川町の4市3町にわたる東西20km、南北25kmの広大な鉱山地帯が形成されており、この地域一帯には、「多田銀山」に代表されるように、全部で2800余の「間歩(坑道)」が残っているという。

 「知明山」のある一庫公園園内にも間歩が残っており、昨年、「エドヒガン」群落とともに川西市の天然記念物に指定された。

 同じ鉱脈の延長にあり、隣町に残る「多田銀銅山遺跡」は、江戸から明治に至るまでの鉱山のあり方や産業技術史を考える上で重要とその価値を認められ、平成27年6月、国に国史跡指定とするよう答申された。また、この遺跡には、「豊臣秀吉」の埋蔵金伝説が伝わっており、ここに住み着き、家庭も定職も持たず、37年間地底でひたすら黄金を探しの夢を追って生涯を終えた男がいた。

 かって男たちを一攫千金の夢に駆り立てたかもしれない間歩の跡を横目で見ながら、山作業に勤しむ春の一日 ・・・。
  
   

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