2016年5月16日月曜日

先人たちの窯跡が ・・・


 間伐作業の傍らにあったのが、炭窯跡。窯本体は崩れてしまっているが、煙突の形がしっかり残っている。山中には至るところに炭窯跡が残されているが、クヌギ林の近くに簡素な炭窯を作り、そこで炭を焼くというのは先人たちの知恵でもある。窯木は炭にすると、体積で6割、重さで3割に減少する。軽トラなどなく、全てが人力に頼っていた時代。できるだけ運びやすくして麓まで下ろしたのである。また炭窯は共有で、誰が使ってもよかったと聞く。

 煙突の内側には、黒い煤の跡もしかっり残っている。ちょうど窯口のあたりに生えている一抱えもある「コナラ(小楢)」から推測すると、その「コナラ」が生える前、数十年前に放棄された窯であろう。ちょうど化石燃料や電気・ガスへの利用が進んだいわゆる「燃料革命」の時代、1960年代であろうか。崩れ落ちるのも、時間の問題であるが、少しでも先人の足跡を長く残そうと、窯跡の整備も行った。   

 死語ともなってしまった「炭」、「炭焼き」。そんな「炭の文化」を、今私たちが山の手入れをし、炭焼きをして、引き継いでいる。この朽ちた炭窯、誰が使っていたのかはわからないが、時を超えた縁を感じ、煙突孔に触ってみると、ここで炭を焼いていた人たちの思いが、温もりとして伝わって来るような感じがした。
 
 林の中で、あれほど華やかに咲いていた「モチツツジ(黐躑躅)」も、もう終わりである。


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