2012年4月13日金曜日

天空のフーガ  ~櫻づくしの日が始まる~


 さあ、櫻の季節。去年までは、名物櫻を追いかけて、関西一円を走り回ったが、今年はあまり遠出はせずに、ご近所の櫻を楽しむことにした。冒頭の写真は、いつもの山遊びのフィールドで、まず最初に咲きだした「エドヒガン(江戸彼岸)」。小ぶりの花で、まるで霞がかかったように空を覆う。猪名川水系に属すこの公園の山には多くの「エドヒガン」が自生している。少し早めに山仕事を切り上げて、櫻づくしの鑑賞会と決め込む。同じ種類でも咲いている櫻、まだ咲いていない櫻。「エドヒガン」を追いかけて、これから次々と咲く櫻。「エドヒガン」を皮切りに、櫻の「フーガ(fuga、遁走曲)」が始まるのだ。



 この山で、2番目に咲くのは、ご存知、「ソメイヨシノ(染井吉野)。「オオシマザクラ(大島櫻)」と「エドヒガン」が合わさってできた櫻で、江戸・染井村(現在の東京都豊島区)の植木屋が品種改良したが、これが人気を呼び、広まったという。全国にある桜の70%はソメイヨシノであるといわれている。まず山への登り口にある「ソメイヨシノ」。公園の「ソメイヨシノ」の中では、これが真っ先に咲くが、低木で小ぶりあるにもかかわらず、満開になったときの美しさは素晴らしい。ただ一本だけで凛と咲くこの櫻が好きである。


 さて、その次に咲くのは、写真左の「ヤマザクラ(山櫻)」、右の「オオシマザクラ(大島櫻)」。まだ咲き始めであるが、いずれも葉と花がほぼ同時に開く。この若々しい緑が何とも鮮やかである。「ソメイヨシノ」の片親といわれる「オオシマザクラ」は、「ヤマザクラ」よりやや大きめの白い花をつける。そして櫻餅を包む櫻の葉の材料は、この「オオシマザクラ」の葉を塩漬けにしたものである。


 北摂地方の「エドヒガン」は、水はけのよい谷間を好んで自生するといわれる。そして「エドヒガン」の巨木の隣には、「ウワミズザクラ(上溝桜)」、「イヌザクラ(犬桜)」が隣り合って自生している。二つの花はよく似ていて、同じようなブラシのように見える形を持ち、サクラ類であるが、一見櫻のように見えないのでこの名がある。他の櫻が散った4月中旬から下旬に咲き始める。したがって、今はまだ蕾の状態であるが、その形はすでにブラシ状をしている。この三種類の櫻が同居している谷筋、写真は奥から「エドヒガン」、「イヌザクラ」、「ウワミズザクラ」である。そしてその蕾。Wikipediaから拝借した「ウワミズザクラ」の花の写真もあげておきましょう。

 華麗に始まった「天空のフーガ」。しばらくはわくわくして楽しめる櫻の季節。最後にもう一度、「天空のソナタ」と呼んでもいい「エドヒガン」を ・・・。

  

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