2017年5月20日土曜日

今年も虫との戦いが始まる


 「ナンジャモンジャ」とも呼ばれている満開の「ヒトツバタゴ (一つ葉タゴ、一つ葉田子)」を見ながら、山頂へ向かう。今日の山作業は、全国的に広がりをみせ、近年、兵庫県でも問題となっている「ナラ枯れ」を引き起こす原因の、「カシノナガキクイムシ(以下、「カシナガ」という)」への対策。その戦いを始める時期が来たのである。鹿との戦いは依然継続中であるが、クヌギの苗にはツリーシェルターを、台場クヌギの新芽についたは、鹿除けネットを設置することで、被害を食い止め、なんとか小康状態を保っている。



 「カシナガ」は、主に7月に大群で、健全な「ミズナラ(水楢)」、「コナラ(小楢)」、「カシ(樫、橿、櫧)」類を中心とした木に飛来し、集団で穿入する。その時に、「ナラ菌」を伝搬し、「ナラ菌」の繁殖により、樹幹の水分通道機能が悪化し、急激に枯死にいたる。それを「ナラ枯れ」と呼び、その被害が全国的に広がりをみせている。そして穿入した木の中で、卵を産み、越冬する。

 羽化して成虫となった数千匹の「カシナガ」は、翌年7月になると、また飛び立ち、付近の健全な「ナラ」類に飛来し穿入する。それを繰り返すという厄介な虫である。我々の対策は、羽化し、新しい被害木を求めて飛び立つ前に、捕獲してしまうために、前年に見つけた被害木に専用の粘着テープで被害木を巻くという方法を採っている。

 「カシナガ」が急増した原因は、里山林が放置された結果、「カシナガ」が好むという太さに「カシ」類が成長したことだという。ここでも、自然と人とのバランスを崩したのは、「人」である。

 また、その幼虫が、桜や桃、梅などのバラ科の樹木を内部から食い尽くすため、全国の桜の名所で、枯れてしまうという被害が広がっている外来種の「クビアカツヤカミキリ」。被害を見つけたら報告して欲しいという要請も来てますが、こちらはまだ発見には至っていない。あたらしい敵が発生しなければいいが ・・・。

 木漏れ日が美しい陰影をつくる林の中で、黙々と作業を進める。
 

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